東海林修先生が四月に、今月に入り井上堯之さん、そして西城秀樹さんが。
東海林修先生の編曲は本当にエレガントでありました。歌謡曲の定番アレンジという基盤が完成する以前からの活躍、スコアに起こすと複雑なアンサンブルでありながら耳馴染みの良い編曲。
音を知り尽くした'音楽屋'のなせる術なのでしょう。
東海林先生の名アレンジはあげればきりがありませんが、個人的に胸を打ったのは沢田研二さんのタイガース在籍中に出されたソロアルバム『Julie』。アルバムの全曲を担当されております。中でも『ひとりぼっちのバラード』や『マイ・ラブ』における弦アレンジは本当に素敵です。歌謡曲では珍しいくらいのハイノートが使われていたり、後にシングル曲でポップなアレンジを施す先生ですが、このアルバムでは非常にシンフォニックで全編を通して聴いているとどこか映画のサウンドトラックを思わせます。
当時を知る方からの話によると先生はとても繊細で、日によって調子も違うが乗っている時の先生は天才的だったとのこと。
ご自身が音楽監督をつとめられたNHKの音楽番組、ステージ101の関連音源も東海林作品を振り返るには良いかもしれませんね。
井上堯之さん。
うまいギタリストとは一聴して'その人の音'だと判別がつくプレイヤーを言うのではないでしょうか。テクニカルで競えば上には上がいることでしょうが、オリジナリティという観点で見た途端急にその数は限定されていくものだと思います。
井上堯之さんのギターはやはりオリジナリ性が高い。タイム感、音質、使用ギターどれをとっても個性的です。
自分もギターを弾く身から言えば、そのプレイヤーが使っているギターが欲しくなったらもう惚れている証拠です笑
井上堯之さんの使用ギターでギブソン社のL6-sと言うかモデルがあります。このギターを初めて弾いた時の感想は「何故、このギターを弾いておられるのだろう…」でした…笑(でも欲しい)
ベタ塗りメイプル指板に高さのないフレットはチョーキングもしにくく、マイクもレスポールなどに付いているハムに比べると艶もワンランク下…
しかしこう言った話は多いのです。名プレイヤーがチョイスする楽器はえてして万人にとっての名機ではないことが。
井上堯之さんはエレキギター黎明期に育ち、模索しながら自身のスタイルを確立していった世代のプレイヤー。現代の'資料、道具飽食時代'のギタリストには到達できない凄みがあります。
太陽にほえろ!のイントロのオクターブカッティングひとつとってもなかなか同じ音にはならないのは、生き様がそのままプレイになっていたからなのでしょう。
西城秀樹さん。
何度かお仕事もご一緒させて頂きましたが、初めてお会いしたのは河村隆一さんの結婚式の会場でした。隆一さんにご紹介頂いたのですが、その時は僕があまりに馬飼野康二作品について熱弁するのでおかしな子だと思われたかもしれません笑
しかし秀樹さんも「傷だらけのローラ」は大切な歌で大好きだとおっしゃっておりました。アイドル時代の歌を30年経ってなおもはっきり好きだと言い切れる秀樹さんに嬉しくなったことを思い出します。
何度かのご病気を乗り越えて最後までステージに立つことに拘ってこられた秀樹さんは芸能人の鏡です。
ボーカリストとして、また音楽シーンの開拓者として常にチャレンジャーだったことも忘れてはなりません。
歌謡曲全盛時代から半世紀が経ち、これから先また幾多のお別れが来ることでしょう。
しかしながら皆さんが残して下さった偉大な功績やスピリッツから学ぶことだけは決してやめてはならないのだ…と思うこのごろです。
半田より。