サトウキビの葉のザワワザワワに混じり、ジジジジッジジジジッと何かノイズのような音が聞こえた。

 

 

体温が上がり汗をかいているにも関わらず鳥肌が立っている。

 

 

「嫌な気配もヤバイ報せもないのになんだろ?」と思い、いつもより言葉少なく、静かに感覚の輪を広げる。

 

 

だんだんと強くなるジジジジッジジジジッを聞きながら、「そう言えば、お婆ちゃんから聞いた話の中に似たようなのあったよな・・・」と、そんな事を思い出す。

 

 

祖父は修行中に何度も不思議な体験をしており、お祓いを生業にして以降も不思議な体験をしている。

 

 

祖母から聞いた話がそのまま本当なら、「よく生きてこれたな」と正直にそう思うのです。

 

 

祖父が修行で廻国中は、まだ民間宗教も多く存在していたようで、中には一村だけが信仰対象としている存在もいたそうです。

 

 

旅の途中で体調を崩した祖父は、「こんな所に人が住んでいたのか?」と思うほど、辺鄙な場所に小さな集落を見つけ、そこで一晩休ませてもらう事になった。

 

 

普段は、村の寺か神社の境内の隅を借り野宿するのだが、村人に「祭りの用意をしているから村人以外は入れない」と言われ、祖父は「こんな季節になんの祭りを・・・」と思ったが、案内された納屋で眠ることにした。

 

 

夜中に「おい。おい。起きぬと命取られるぞ」と、誰かの声が聞こえ目を覚まし辺りを見回すが誰もいない。

 

 

祖父が「疲れから気弱になったか・・・」と、自分の未熟を恥じながらもう一度寝ようとしたら、今度はハッキリと大きな声で「おい。おい。眠ったら命取られるぞ」と聞こえた。

 

 

一気に目覚めた祖父は、守り刀と不動明王像だけを掴み、納屋の外に飛び出したそうだ。

 

 

集落を抜けもう少しで山に入るところで、奇声を上げ追いかけて来る村人を見て、祖父は生きた心地がしなかったようだ。

 

 

「おい。おい。こっちだ。間違えたら命取られるぞ」と、あの時の声を頼りに明かり一つない山道を、祖父は守り刀と不動明王像を握りしめ、日が昇るまで駆け続けたのでした。

 

 

修行から帰りずいぶん経った頃に、祖父は「あの時ばかりは生きた心地がせず。これが最後と腹を括ったが、一命を救っていただいた」と、そんなふうに祖母に伝えたのでした。

 

 

後ろから人でない何かが追って来る気配がして、それが近づくと耳の奥で蛾が何匹も飛ぶような、ジジジ、ジジジ、ジジジって音がして、大層気味が悪かったそうです。

 

 

そんな話を思い出しているうちに、ジジジジッジジジジッという音は聞こえなくなっていた。

 

 

鳥肌も治まり気が抜けかけたのだが、次の瞬間、「ホホォーーーウ、ホホォーーーーウ・・・」と甲高い声を上げながら、面をつけた三つの黒い影が勢いよく走り出て来た。

 

 

何が起こったか理解するまで5秒ほど、三つの黒い影は神様の使いの中でも不浄を払う役割のものだった。

 

 

ここら一帯の土地を守る神様方が何かの儀式の準備を行っているところを、知らずに呑気にフラフラと歩いていたので、「ちょっと掃除をしてこい」って感じだったようです。

 

 

走る三つの黒い影を目で追いながら「手前、未熟者にて、この地を納める神様方の御名を存じあげませんが・・・」と、お詫びをのべてその場を離れました。

 

 

 

 

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