前々から、どうしても一度会っておきたい観音さまがありました。
福島県相馬市にある百尺観音という磨崖仏です。
ですが2011年にあの震災が…というよりもあの事故が起こってしまい、
ぐっと距離が遠のいてしまったと言いますか。
誤解を恐れずに言うならば、私にも少し躊躇するところがあったのです。
ただ相馬市自体は線量的には問題なく、
当初から立ち入りが制限されるなどしていたわけでもなく、
むしろ事故で帰宅困難になってしまった方々が引っ越して来て、
人口が増えたという話しもあったようです。
ずっと見送っていましたが、今回やはり行きたいと思い立ち、
とうとう初めてお会いすることができました。
そして行って本当に良かったです。
とても感動的な出会いでした。
ここで最初に謝っておきますが、
実際に行く前はもっと…寂しい場所だと思っていました。
震災もあって寂しい感じになっているんじゃないかと、
そんなとても失礼な想像を勝手にしていたんです。
ごめんなさい。
ですが、その想像は裏切られました。
もちろん嬉しい裏切りです。
到着した百尺観音霊場の駐車場はこんな状況でした。

言わずもがな、右奥に見える白い大きなお顔が百尺観音さまです。
もったいつける必要もなく、大きすぎてもうすでに見えちゃってます。
あまりにも唐突な感動のご対面。
写真は駐車場の一部です。
実際にはもっと多くの車が停まっていました。
行ったのが1月1日元旦だったということもあってでしょう、
大盛況でした。

観音さまをバックに記念撮影をする人々。
お賽銭をしたり、おみくじを買ったり、
甘酒、そば、うどんなどを食べられる売店も満席状態。
こんなに多くの人が参拝に来てるだなんて…!
想像を裏切る嬉しい事態に、
大仏ファンとしては感動が止まりません。
感動してちょっと泣きそうになりました。
泣きそうになったのは人が多かったからというだけでなく、
百尺観音を実際に間近で観た迫力がスゴかった、というのもありました。
思っていた以上に大きく、素晴らしい観音像の磨崖仏だと思いました。

この磨崖仏は正確には百尺聖観世音尊像といい、
26.4メートルの台座と膝元が未完の観音坐像です。
全て完成すると36メートル(118尺)となる予定。
側に近づくことができないので、比べる対象がなく、
その大きさを伝えることが難しいです。
なぜ近づけないかと言うと、観音さまの前には池があるから。

暖かい時期だとこの池は水草で覆われていますが、
この時期だと逆さ観音が拝めます。
これまた手を合わせずにはいられなくなる絶景。
聞いて驚かないでください、
この観音さまの歴史は生半可なものではありません。
最初に彫られはじめたのは何と、昭和6年のこと。
いまから86年も前になります。
地元の仏師荒嘉明氏が生涯一体の大きな仏像をつくろうと決意。
一歩一歩と彫り進めるも、昭和38年に完成を見ず他界してしまいます。
それを二代目が引き継ぐも、
またもや完成ならず亡くなってしまい…
またそれを三代目が引き継ぎ…
そして現在その志を引き継いでいるのは何と四代目!!
四代目からしたら、ひいおじいちゃんの悲願を
おじいちゃん、お父さんから引き継いだということですよね。
この一族、素晴らしすぎます。

そんな中、2011年に東日本大震災が発生し、
蓮の花を持つ左手が崩落してしまいました…!
ああ、また完成が遠のいた…
しかし、四代目は諦めていませんでした。
参拝客が多くお忙しい中、少しだけお話しをおうかがいできたのですが、
もうすでに修繕工事のメドは立っている
のだそうです!頼もしいお言葉!
次にここに来るときには左手は修繕されているかもしれません。
もしかしたら膝から下も着手されているかもしれません。
昭和6年から86年に渡り未完のまま受け継がれてきた
観音像の悲願の完成を本気で応援したい!
そう思いませんか?

ここでお土産品やおみくじを買うなどしたお金は、
きっとその修繕等の費用にもあてられるのだと思うので、
本当に本当に微々たるものですが、ちょっとだけ応援させていただきました。
ちなみに、おみくじは大吉でした。
お土産を購入した時のこの袋、すごい可愛かったなぁ。
このブログを読んで共感してくださる方がいらっしゃったら、
ぜひアナタもこの悲願を応援しに行ってみてください。
百尺観音だけに、ちょうど100年目、あと14年で完成!
なんて素敵じゃないでしょうか。
完成したならばぜひまた行きたい。
そしてそのお姿を撮影させていただきたい。
本当に勇気づけられました。
私も頑張ろうと思いました。
今もこれを書きながらちょっと泣きそうです。
最近涙腺がゆるめです。
そんなことを思った感動の今年の1月1日だったのでした。
