王妃の不倫は、前述したように(王妃の理想像 参照)とても危険なものです。
けれど、実際のヨーロッパの宮廷は、婚外子だらけだったよう。それも、王の子ではなく、王妃の子である場合も多々あったようです。
ではなぜ、そのような危険を冒してまで不倫をするのでしょうか。
不倫をする、あるいはせずにはいられない王妃の心情とはどのようなものなのでしょう。

王宮の馬車

プリンセスはこのようなものに乗って嫁いでいったのだろうか



プリンセスは幼い頃から、従順で、貞淑な女性になるような教育をされます。
そして結婚前に将来の夫を対面しないままであることも多いようで、大抵は良いところを抽出、演出したような肖像画や、本当は誰が囁いているのかよくわからないような美談などを聞かされて結婚への心構えをします。
だから、多くのプリンセスは前向きな気持ちで夫のもとへ旅立っていくことが多かったようです。

けれど、プリンセスは結婚後、その生活に幸せを感じることは無く、むしろ不幸を感じる機会のほうが多いのではないでしょうか。
色々な資料を見ていると、何となくそう思うことがあります。
その不幸の原因としてあげられそうなものをいくつかあげてみます。

●王妃が閉じ込められる宮殿は大変住み心地が悪い
プライバシーや自由な時間はほとんど無い 。 さらに自分についている召使いはしばしば敵のスパイである。
●故国からの親しい付き人もそばにおらず、故国に帰ることも許されない。つまり、かなり孤独である。
●王との愛情関係も期待できない(王の性的不能、同性愛、王との望まない性交渉、寵姫システムなど)
●王妃は個人としてではなく、身体器官、子宮として扱われる。その屈辱。
●子供は国家のもの。生まれた瞬間から王妃からとりあげられる。教育はさせてもらえない。
●王妃の財産は王のもの。自分の自由にできるものなどなく、すべては王次第で決定される。
●王宮の医療は最悪である。当時流行っていた間違った知識からの治療と比較すると、治療を受けられない庶民のほうがよっぽど養生できたかもしれないという話もあるほど。


このような状況にあるとき、人は人の温もりを他に求めずに孤独に生きることができるものでしょうか。
不倫に走る王妃を見て、その弱さを周りが非難するべきなのでしょうか。
あるいは、その命がけの勇気をたたえるべきなのでしょうか。

王妃の生活の内側を眺めようとすると、何やら複雑な気持ちになってきます。