3度目の正直、寺田屋3rdの
正式オープンは1月8日、
つまり明日です。
正式オープンを目前に控え
ここで【寺田屋の出来るまで】を
振り返ってみようと思います。
まず不動産屋のお姉さんから
「都島に空き物件を見つけました」
と連絡をいただいたのは
去年の3月。
場所は私たちも良く知っている
というか、
都島時代の寺田屋1stから
道路を挟んですぐのところ。
しかし、場所は知っていても
この物件が店舗ではなく
『民家』だ
と知ったのはこの時です。
シャッターを開けると土間があり
その奥は畳敷きの上がり場。
今の店の御手洗いの場所は
この時の御手洗いの場所と一緒。
「排水口とかどうなりますか?」
との質問に
「排水とかはもちろん確認しますよ」
とのこと。
ここが私の確認不足で
床のコンクリート打ちまでは
ちゃんとやってくれるのだと誤解しました(爆)
そして大家さん側の
外壁工事が始まります。
屋内の上がり場を取り壊し
外側もパネルを貼り
入り口側の壁を作り
窓とドアをつけます。
3月にお話があってから
5月には始めるとか、
8月には始めるとか、
二転三転して
結局取り掛かったのは9月。
しかし、始まれば
この工事はアッという間でした。
外側から見ていれば
もうお店が出来そうな雰囲気。
ここから私たちがお願いした
多井工務店さんにバトンタッチです。
結局、「排水の確認はしますよ」
と言うのは
排水がちゃんと流れるかどうかの確認だけで
後はお好きにどうぞ
と言う流れに・・・
でも、建物が古すぎて
図面が無い。
どこに排水管が通っているのか
掘ってみないと分からない状態(爆)
てか、いつ建った建物なのかも
登記を見ても分からない。
世の中にそんな物件あるんですね💧
これらの事を全て
最初から私が理解していれば
この物件から手を引いていたでしょう。
でも乗り掛かった船なのです。
工務店さんにも什器屋さんにも
春から打ち合わせをして来たのに
ここで途中下車の選択は無い。
そして地面を掘ってみたら・・・
石が出て来た
昔の家屋は丁寧ですねぇ
コンクリートの安普請じゃなくて
ちゃんと石を基礎に使っているよ♪
なーんて、生やさしいお話ではありません
建物の端も
きちんと測ると直角じゃない
「おいっ!」とツッコミ処満載の物件です。
結局、排水管と下水管を探すため
地面を全部掘り返すはめに。
「よくこんな物件でやろうと思いましたね」
と言われますが
「偶然とご縁です」
としかお答えしようがありません。
普通↓この状態を
『スケルトン貸し』と言うなんて
想像出来ないでしょ
まあでも、苦労したのは
工務店の大工さん達です。
私はこの時には金策のことばかり
考えていました。
ちょっとずつ工事は進んで行く。
経過観察しているだけで
「一体いくらかかるんだろう・・・」
と言う不安しかありませんでした。
「自分のお店の設計が出来るなんて
一番楽しい時だよね」
って言われたけど
苦笑いするばかり。
日本政策金融公庫で借入することは
決まっていましたが
半端な資料と面談だと
貸して欲しい金額を
減額されるかもしれません。
そうなったら一発アウト
工務店さんは、必要最低限に
でも基礎的なことは
最大限にやってくれています。
当然時間もかかっている。
ガスの容量が足りないと
ガスの使用はオーブン付きコンロと
フライヤーに譲って
巨大な電気給湯器を置くことになったり。
この辺りは全て
工務店さんの提案です。
向こうも綱渡りで工事を進めていて
ちゃんとお金を払って貰えるか
不安はあったと思います。
(そんな話を何度かしました。)
結果、公庫からは
こちらの希望通りの金額を
借りることが出来て
支払いはOKになりました。
「相見積もりを取れば
もっと安くで出来たんじゃない?」
これもよく言われます。
でもね、
ずっと工事を見ていたから分かるんですが
適当な工務店だと
本当に見た目だけで
スカスカな工事を平気でやります。
手抜きマンションとか
欠陥住宅とか
リフォーム詐欺だとか
いろいろ聞くけど、
今ならよく分かる。
建築って素人には
何をやっているのか分からないし
最終的に、見た目が綺麗だと
ちゃんとしているって
思っちゃうんですよ。
この寺田屋の工事だって
安い見積もりは取れたでしょう。
ただし
「ガス管が200ミリしか無いので
家庭用コンロと家庭用ガス給湯器しか
設置出来ません。」
とか
「排水はトイレの下水管しかわからないので
共通の菅にするしかありません。」
とか絶対言われる
そうなったら
店を長く続けるには
かなりのストレスがかかってしまいます。
この寺田屋3rdは
私のシェフに対する贖罪です。
北新地寺田屋を失ったのも
その後の裁判中に彼が鬱になったのも
コロナで飲食の仕事がなくて
リゾートバイトに出て
結果指を粉砕骨折して
障害者認定を受けることになったのも
結局全て私のせいです。
だからシェフにはちゃんとした
厨房をプレゼントしてあげたかった。
何だかんだいろいろありましたが
とにかくお店が出来上がりました。
今まで蓄えてきた料理の技術と
ますますの切磋琢磨で
美味しいもんを皆さんに
提供してください。
因みにこの難工事をやり抜いてくださったのは
『多井工務店』さん。
柱の向こうにいるのが多井さん。
