服薬指導のロールプレイ

 

薬剤師の現場業務にブランクが開いていたり、慣れない診療科の薬が出たときは心配になることがありますよね。特に薬剤師になりたての頃は心配が尽きないと思います。

研修なんかでロールプレイに付き合ってもらえている方もいると思いますが、いきなり投薬台に立たされる方もそれなりにいらっしゃると思います。

 

もしお声がけいただけたら、ロールプレイの相手もさせていただきますが、今回はChatGPTに患者役になってもらって、服薬指導の練習ができないかやってみました。

 

事前にChatGPTのカスタマイズをしているので、設定の中身については一番最後で紹介しています。

 

 実際のロールプレイの内容

 

猫が私が打ち込んだ内容で、で犬がChatGPTからの回答です。

 

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服薬指導のロールプレイをお願いします。

もちろん、服薬指導のロールプレイを行いましょう。

シナリオ1: 忙しい患者

背景情報

患者: 30代男性、会社員 症状: 風邪(喉の痛み、鼻水、軽い咳) 処方内容:

  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)500mg 錠剤 1日3回
  • ロラタジン(抗ヒスタミン薬)10mg 錠剤 1日1回
  • デキストロメトルファン(鎮咳薬)15mg 錠剤 1日3回

併用薬: 患者は他の薬を併用していません(お薬手帳を持参していないため確認が必要です)。 これまでの服用歴: 新規患者、風邪薬の処方を受けるのは初めてではないが、ここでの処方は初めて。

患者の様子

  • 忙しくて早く薬をもらって帰りたい
  • 詳しい説明を求めることなく、簡潔に済ませたい

それでは、薬局でのシーンを始めましょう。

 
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患者:(急いだ様子で)すみません、この処方箋の薬をもらいたいんですが、早くしてもらえますか?仕事に戻らないといけないので。

 
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​承知しました。安全の確認のため、少しだけお時間をください。 今他のお薬は飲まれていますか?

いや、今は他に何も飲んでいません。ただ、ほんとに急いでるので、手短にお願いします。

 
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​分かりました。 熱と鼻と咳症状でしょうか。 熱さましと咳止めのお薬は、朝昼晩の食後に服用してください。アレルギーのお薬は(夕食後の処方と仮定して)夕食後に1日1回服用してください。 眠気が出ることがあるので、危険な作業や運転はできる限り控えてください。

わかりました。眠気が出るかもしれないんですね。了解です。何か他に気を付けることはありますか?なるべく早く済ませたいので、必要なことだけ教えてください。

 
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これまでお越しの時にお聞きした情報から、これらの薬でこれ以上気を付けることはありません。 もし気になったことがあれば、お仕事の合間や終わった後にでもお電話をください。よく食べて暖かくして、お仕事も無理をしないようにしてくださいね。

わかりました。ありがとうございます。それでは失礼します。(急いで薬を受け取り、去る)

 
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お大事になさってください。

 

これで終了です。急いでいる方だったため、かなり端折りましたが、もし不足している部分があれば教えてください。

シーンの流れは十分でした。忙しい患者の状況に合わせて、的確な情報提供と簡潔な対応を行いました。患者の要望に迅速に対応し、安全上のポイントを丁寧に伝えることができました。特に眠気に関する注意事項を伝えることは重要でしたね。何か他に質問やアドバイスがあれば、お伝えいただければと思います。 

 
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こんな感じで聞き方を選べばアドバイスまでもらうことができました。

 

しかしいきなり急ぎの方に出くわすとは思いませんでした。もちろん設定にそのような方も入れるように書いたことは確かなんですが・・・

急ぎの方はたまにいますもんね。風邪なら仕事は休んでもらいたい思いもありますが、そういうわけにもいかないのでしょう。ここでは、初回来局時のアンケートの内容と併用薬の確認を行い、特に注意いただく点と薬効・用法の確認に留めました。

 

特に薬学的なコメントもないのですが、急いでいる方に対しては、私は以下の3点を抑えるようにしています。

  1. 服薬にリスクがある場合は必ず押さえる(併用薬・生活習慣・アレルギー・副作用歴)
  2. 薬袋や薬情なども活用しつつ、患者の理解度に合わせて簡潔に済ませられる部分は簡潔に済ませる(今回の場合は現役で仕事をされている方で、理解が良い患者という前提で、〇〇の薬とPTPを見せながら薬と薬効とをリンクさせ、用法を口頭で説明します。薬袋にも記載があると思うので、そこを指さすイメージ)
  3. 服薬に大切な用法・副作用があれば伝えたうえで、ご自身で分からないときはその時に電話などで薬局に連絡してもらうことを伝える。リスクが高ければフォローアップを検討する。

何度も言いますが、今回の服薬指導のロールプレイで特に薬学的に伝えることはありません。添付文書の中でも大切な部分(押さえておくべき情報)のみしか使っていないませんので。

 

 皆さんが同じようにロールプレイをするためには

 

私の行った設定をお伝えします。アカウントを作ってログインしてから開始してください。

予め、右上のメニュー(アカウントのアイコン)から「ChatGPTをカスタマイズする」を選択し、「どのように ChatGPT に回答してほしいですか?」の部分を以下のように記載しています。

 
私自身のコメントが薬剤師として足りていないところや誤っているところ、不適切なところがあれば質問内容にかかわらずその場で指摘してほしい。
ChatGPTに患者役を演じてもらい、ロールプレイをしたい。私は薬剤役としてチャット欄に薬剤師としての発言を打ち込みます。
患者役の時は、質問をたくさんしてくれる方の役もありがたいが、会話が嫌で早く薬をもらいたいだけの人なども演じてもらいたい。
潜在的なリスクを持っている患者で、患者はそのリスクに気づいておらず、こちらからの質問によってリスクを見つけ出すような例も出したいため、例えば薬局ヒヤリ・ハット事例(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/)などで報告されているプレアボイドの事例などを参考に、薬剤師としてリスクを減らすことができるか試すような患者の演じ方もしてほしい。それぞれの場合でどのような患者を演じるかは特にこちらからの指示がない場合は、ランダムで良い。
ロールプレイの前は事前に処方内容・併用薬(お薬手帳を持参していなくて服薬指導前に把握できていないパターンでも可)・これまでの服用歴など(新規患者でも可)についても情報を提示してほしい
飲み忘れや薬が切れても受診できていないパターンもあるので、その場合は前回来局日と前回の処方日数をあらかじめ提示してほしい。(日が開いていることからコンプライアンスの状況を予測するため)
これまでの服薬指導で得られた情報(薬歴に記載されていると思われるもの)以外のその他背景(薬の飲み忘れがあるなどの情報)は事前に提示せずに伏せておくこと。

事前のカスタマイズさえ終わっていれば、チャット欄に「​服薬指導のロールプレイをお願いします。」と打ち込むだけで開始できます。
たまに変なことを言ってくるので、再度回答させたり、質問の仕方を変えたりはしていますので、是非色々試してみてください。

 

実はこのトレーニングをやるにあたって、患者パターンを3パターンChatGPTから提案されました。残り2つも少ししたら記事にしようと思います。

続:ChatGPTで服薬指導のトレーニングをやってみた②報道で副作用や飲み合わせが不安になった患者さん

 

もし服薬指導のロールプレイをやってみたい方や、ChatGPTの使い方が分からないなど、ご不明な点があればX(Twitter)のDMか、こちらのコメントに記載いただければ回答いたします。