【内なる自分を表す】264 文化・芸術の秋2023~(5)家族草子 vol.20 | 望む未来をご案内~花らっきょうのブログ

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【 #内なる自分を表す 】264 文化・ #芸術の秋 2023~(5) #家族草子 vol.20

いいか、医者の家に生まれたのは宿命だ。
(森裕美「埋め合わせ」より、橋本、聞き書き)

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本日もお読み頂き有難う御座います。

◆本日の花らっきょうは、#広尾 へ。
#天現寺スクエア で「#家族草子 」の公演を拝見しました。

家族草子は、作家・森裕美さんが主宰する団体で、
その名の通り、家族を主題とした作品を上演しています。

コロナ禍の最中にもオンラインで公演するなど、
地道な活動を続けて来たのだそうです。
 

◆今回の上演は、2本。

・1本目「乾いた声でも」

主人公は、由季子と言う未亡人。
夫・桐原を過労で亡くしたばかりの専業主婦です。

夫の先輩・武井は夫の四十九日を迎えた未亡人を訪ね、
亡き後輩の、会社での足取りを語ります。

由季子は話を聴きながら、夫とのなれそめ、言い争い、
そして冷えて行った関係を思い出します。

「妻は一緒に戦ってくれなくていいんです。(中略)
味方でいてほしいんですよ」

由季子は、武井の一言から、
妻として、夫婦としての在り方に想いを巡らします・・・
 

・2本目「埋め合わせ」

主人公は、矢島と言う医者。

実家は、代々続く医者の家で、彼は次男。
父親の意向で医者になることを余儀なくされます。

兄である長男も医者であるため、彼は正にスペア。
「仕方なく惰性で医者して」いたのです。

そんな彼を呼び出したのは、大学の先輩・橋本。
勤務していた地方病院の後任になってほしいと頼みます。

新しい任地で矢島が出会ったのは、徳田と言う老人。
彼は医者を目指しながら志半ばで死んだ息子の話をします。

不本意ながらも医者になった矢島に老人は言います。
「親としてどれだけ嬉しかったことでしょうねえ」

矢島は、我が身を省みることになります・・・
 

◆今回のご紹介は、俳優の渡辺克己さん。
「埋め合わせ」の橋本役を演じています。

医者の家に婿入りして舅の病院を引き継ぎ、
英単語の混じった会話を臆面もなく展開する役どころです。
 

◇克己さんと言えば、「アルファボイス」。
その魅力的な声は今回の公演でも変わり有りません。

舞台上で克己さんが大切にされているのは、
「自分本来の声で語ること」。

絵画で言えば、鉛筆で丁寧にデッサンすること、
と言えるでしょう。

花らっきょうも昨年の朗読劇「うそつき男のお話」で
克己さんと共演しましたが、

自分の場合、絵画で言えば、始めから色で描くようなもの。

何かにつけて役のイメージを声で表現するところを、
「何かになろうとしない」と躾けられたものです。

※うそつき男の振り返りがまだでした。年末にも。
 

さて、

◆今回の公演のテーマは、家族。

1本目「乾いた声でも」は、
花らっきょうが人間五十年で経験してこなかった世界。

一方、2本目「埋め合わせ」は、
花らっきょうが経験してきた世界と重なります。
 

◇花らっきょうの母方の祖父は地元の名医でしたが、
彼の死と共に一代で終わります。

そんな中、花らっきょうが後継者として指名され、
家族の歴史の埋め合わせをすべく医学部に入ります。

しかし、

医学にも人としての在り方にも行き詰まります。

医者とて社会に貢献する一職業に過ぎない。
自分は、医者で社会に貢献は出来ない。

そのように悟り、医者は断念。
家族・親族は長い間反発して行きました。

花らっきょうは、自分が家族の投資先でしかなかったと悟り、
家族と離れて東京に移住するのです。
 

◇他方、花らっきょうの弟にも回想が及びました。

弟は小中校時代、「花らっきょうの弟」と呼ばれ、
それがものすごく嫌だったと言います。
すまんの、兄はキャラが立ち過ぎたんぢゃ( ノД`)

今では立派に一家も成し、県の教育行政にも携わり、
兄よりも両親の跡取りに相応しく生きています。
 

◆もし、花らっきょうが医者になっていたら、
両親は「親としてどれだけ嬉しかったことでしょう」。

当時の彼女も医者の妻になる夢が叶い、
表向きは何ら不自由の無い人生であったかも知れません。

しかしながら、

自分は弘前と言う県にも満たない小さな世界に縛られ、
生きながら後継者問題に悩んだことでしょう。
 

◇花らっきょうは医者と言う安定した職業を手放し、
家族を持つと言う機会も手放しました。

その埋め合わせと言う訳では有りませんが、

花らっきょうは東京で生きる自由を手に入れ、
通からぬ晩年は熱海で生きる夢も手に入れたのです。

そうで無ければ、今回の公演も観られなかったはずです。

花らっきょうは医学を捨てて本当に良かった。
この舞台でようやく自分に丸付けが出来た気がします。
 

◆この度の公演は、明日が千秋楽。

舞台は、単なる集団朗読ではなく、
「台本を持ったお芝居」。

台本を小道具に見立てたり、
出ないはずの作者が出た・・・り、←微笑

克己さんが気の利いた台詞を言ったり、←言わされたり?
至るところでクスッと笑えるはず。

そして、観た人は、
各自の家族の在り方を考えさせられるはずです。
 

※写真は、「家族草子」の終演後。港区、本日
1枚目:カーテンコール。矢島役・千代将太さんが感無量で挨拶。
2枚目:カーテンコール。渡辺克己さんの姿が見える。
3枚目:渡辺克己さんと。森裕美さんの最新刊と共に。
4枚目:おまけ。天現寺の本堂。花らっきょうは公演後にお参り。

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【ご案内】家族草子 vol.20
bit.ly/46skNCh
10/15(日)15時から。
天現寺スクエア5階にて。
当日4950円。

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【補】天現寺はこちら↓
http://www.tengenji.jp/
※ご朱印は取り扱いしておりません。ご注意を。