なぜか昔からトップに近いところにいる人から気に入られる傾向にある。数回転職したことはあるが、いずれもそこそこの大きい会社。だから、トップとはあまりあう機会はないけど、ナンバー2以降の人と接する機会が多いので、いつの間にかとっても気に入られる。

 私は決して、美人でもないし、スタイルがいいわけでもない。身体的特徴といえば、長身な分だけ目立つといったところか・・・。だから、気に入られる理由は別にそんなところにあるわけではないと思う。

 学校卒業以来、建築業界一筋でやってきたけど、そんな人たちに気に入ってもらえるおかげなのか、せいなのか。具体的な建築の仕事というより、企画、広報、マーケティングに近い仕事に借り出され、とくにそんなプロジェクトがないときに本業の設計をやるような状況なので、いまだに構造はさっぱりわからないし、法規もうろ覚えで本を調べなくちゃ判らない。だから確認申請もまともに出せない。だけど、1級建築士は、ストレートで合格しました!。センスには自信があるから、意匠設計ならばっちりだし、そこに期待されて、意匠にこだわる客の場合、借り出されることも多い。

 おそらくそんなところも根底にあるとは思うのだけど、下っ端にはよく思われていない。直属の上司からは嫌われる。結構つらい人生だった。手せけど、仕事そのものは面白いから、ずっとがんばっている。

 今の会社には3年半前に入ったんだけど、ここでもおんなじ状態になりつつある。というのも、上の人間に気に入られると、変なゴシップにまみれてしまうのだ。まさしくそれが今。ひそかに「常務の女」と、ささやかれている。確かに、特別扱いしてもらっている。だって、私がやっている業務はそんな部署として存在してないから、いろいろ特例だらけ。出張も多いし、出張先で常務と合流することもしばしば。でも、仕事だけ。そりゃ、ご飯ご馳走になることは何度もあったけど、口説かれたこともないし、私自身そんな目で見たこともない。

 でも、最近、出張先の支店長が気を回している感じがしていた。出張先の支店で、支店長が自分の車に常務と私を乗せ、常務のホテルによってチェックインさせ、再び乗せ、私も同様にして食事する店まで送って、私たちだけ置いて支店に戻る。・・・これって、やっぱ、ヘンでしょー?。変に気を回してるとしか思えないでしょ?

 そんなことに気がつくと、いろいろ「腑に落ちる」ことがある。「これ言うと、常務にまで行っちゃいますよね」「このこと常務、知ってるんですか?」「何気に伝えててください」

言われてた時は、「秘書でもないんですから、知りませんよーー」と答えてたけど、実はもっと深い意味があったのかな、って・・・。

 しかも、このゴシップを当の常務はもっと早い段階で聞いてたみたいで。

社内の連絡は基本的には携帯や、社内のメール。報告書やスケジュールは直メールで送って確認するんだけど、私は常務を始め、いろんな人にメールを送るとき、「ひとこと」何か書くようにしている。まぁ、これはあちこち出張したとき、話しやすいようにきっかけ作りというためでもあるから。

 常務にも勿論、そんな風に書いていた。以前、みんなで呑んでる時に「大体、お前だけだぞ、この俺に、なんちゃって、とか、(笑)とか、書いてメールよこすの)でも、そんなメールがきっかけで、こんな風に話が弾むんだから、私の目論見は外れていない。