結構、うちの会社は大きい。支店が今のところ16ある。大きくエリア分けをして2つのブロックに分かれていて、私はその二つを統括する部署にいる。

 元々は、実家に帰って、2ヶ月くらいプーしてた時、知り合いに、実家から歩いて10分とかからないこの会社の1支店を紹介された。で、すんなり設計として入社したんだけど、それまで、どっちかって言うとインテリアと意匠設計の仕事のほうが専門だった。ところが、たまたま入社時期がこの支店のモデルハウスを作る時期で、専門分野だった私は、なんとなくまかされてモデルを作った。

 うちの会社、特殊な条件でとっても急成長した会社なんだけど、入社時4つくらいしか支店がなくて、地元の業者を使って安上がりなモデルハウス作ってたので、はっきり言って、プロの目には「サイテー」にしか見えないものばかりだった。で、ラッキーな事に、私が手がけたモデルが、今までとまったく違う「いいモデル」になったとえらく評価いただいた。当然本社から偉い人たちがやってきて見てくれるんだけど、大絶賛していただく事になったわけで。ま、いかにそれまでサイテーなモデルだったかってことでもあるんだけどね。

 そんなわけで、設計として入社したものの、いつの間にか、新規支店と、そこに出来るモデルハウスを任されるようになった。結構短期間に急成長したので、わずか1年くらいの間に私が手がけた支店とモデルは8箇所。リニューアル2箇所。お陰で、ダイレクトに上層部の人たちと話が出来る立場になった。

 ところが。いつの間にか、そんな特別扱い、つまり、いろんな支店に出張で行く、支店長をはじめ偉い人たちとお食事会に呼ばれる、直行直帰は日常茶飯事。休日はマイペースで取れる。これは致し方ない状況ではあったのだけど、まず始めに同じ設計課で辛い立場になった。当時設計は私を入れて3人で、結構いっぱいいっぱいで設計も忙しかった。

 だけど、私は支店長飛び越えてダイレクトに上層部から指示が来る。でも立場は設計課。イヤミ言われるくらいならまだしも、当初3分の1で仕事を割り振られ、残業なんて状況でも捌けない状況だった。これだと業務に支障が出るってんで、何とか設計業務をパスさせてもらった。だって、新規出店業務をこなせる人間が逆にいないから。お陰で、当時は辛かった。

 うちの会社だけじゃないと思うけど、適材適所はある。でも適材が見つかったとき、まだ適所はない。だから指示系統がはっきりしない。で、ペーペーの私からすると、「誰に聞いたらいいの?」になってしまう。もうそんなこんなで当時は胃が痛くって、付き合いの長いピロリくんに泣かされた・・・。

 でも、なんとか今は「設計課の悩み」は、少し減ったってだけでもマシにはなったんだけどね。