妄想、BL(M×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  J》

同窓会の会場は都心に最近出来たおしゃれなホテルの宴会場。

相変わらず人が多い。
こういうとこ、カズは苦手そうだよなぁ。
最寄駅の人の多さが嫌になってホテル来る前に帰ってたりして笑
てかそもそも出席にすらしてないかもしれないな。

たぶんいないだろうな、と思いながらほんの少しの期待を胸に受付をして会場に入る。

ドリンクを受け取り、広い会場をぐるっと見回すと・・・すぐに会場の隅っこの方で相葉くんと喋ってるカズに目が吸い寄せられた。
やっぱり俺の目はすぐにカズに反応するらしい笑

出会った時もそうだった。
あの時と全く変わらない、少し幼くてでも色っぽくて儚げな顔立ち。
約10年の歳月が急速に巻き戻されたような感覚に陥る。

軽く深呼吸をしてカズの方に歩いて行くと、数mのところでカズも俺に気が付いてぱっと顔が綻んだ。
その顔に胸を撫で下ろす。

付き合ってる時、かなり嫌な思いをさせただろうから顔を背けられたらどうしようかと内心不安だった。
カズの笑顔に引き寄せられるように目の前まで歩を進めた。

「・・・久しぶり」

「うん。元気そうで良かった。
相葉くんも久しぶり」

「何年ぶり?9年ぶり?松潤は相変わらずなんかキラキラだねー」

「そう言う相葉くんだって、会場入った時モデルがいるかと思ったよ」

「またまたー!」

話し始めるとあっという間にあの時の空気に戻っていく。
相葉くんが「飲み物取ってくるね」と席を外したところで改めてカズに向き合った。

「カズ。あの時は、ごめん。俺、子供すぎて・・・」

「ううん。僕も、ちゃんと言わなかったところもあったから・・・」

「これからさ、友達としてまた時々連絡していいかな?」

「もちろん!」

別れた時は「なんで」ばかりがぐるぐるとして、その後はひたすら忘れようとして・・・忘れて。
カズに会えたらあの時の暗い気持ちが蘇ってきちゃうんだろうかと心配だったけど、どうやら長い年月のおかげで懐かしい思い出となって笑って語れるくらいにはなっていたらしい。

ようやく謝れてホッとしながら、「連絡先消しちゃってたからまた教えてくれる?」ってスマホを出すと「えぇ?!僕はずっと残してたのに!潤くん冷たいんだからー」なんておどけながら連絡先を教えてくれた。

カズは聡いからきっと俺の気持ちはお見通しで、あえてふざけたんだろうな。
やっぱり好きだな、って思いながら再びスマホに入ったカズの番号を眺めた。