妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
《side N》
あったかい・・・
ゆっくりと意識が浮上してきて、そばにある温もりに手を伸ばす。
しかもなんだかいい匂い。
ぎゅっと手繰り寄せようとして「いてっ!」という声に驚いて目を開けると、目の前に綺麗な漆黒の瞳。
そうだ、昨日この子を連れてきたんだった。
「良かった、目が覚めた!肩以外にどこか痛いとこはある?」
「いや、大丈夫。
ここ・・・どこ?てか、あいつらは・・・」
「山賊ならマサキがやっつけたよ。
ねぇ、名前は?しばらくここにいられる?出来ればずっといてほしいんだけど、やっぱり家に帰りたいよね?
あ、家はどこ?近くなら遊びに行けるかな?」
「え、いや・・・あの・・・」
「こら、和。少し落ち着きなさい。
順を追って話さないと分からないだろう」
やっと友達が出来るかな、と思ったら舞い上がってしまって次から次に質問してたら、声を聞きつけて様子を見に来た父さまに嗜められ、そこで初めて男の子が目を白黒させてるのに気付いた。
「あ・・・ごめんなさい、僕、嬉しくて・・・」
そんな僕を見て、男の子の緊張が少し解けたのか、ふっと笑った。
その前まで精悍な顔立ちだったのに、笑顔になると急に柔らかく可愛くなってなんだかドギマギしてしまった。
男の子は智って名前で、それから父さまといろいろ話していた。
同じ年くらいなのに、自分のことをしっかり話して、うちのお役目のことをしっかり聞いて、父さまと大人同士みたいに話してて・・・智ってすごいんだな、って思った。
「うちの和が、そなたにずっといて欲しいようなんだが・・・やはり家に帰りたいだろう?」
「・・・いえ・・・俺はもう帰れない身なので・・・もしここに置いていただけるなら、働いてしっかりお役に立ちたいと思っています」
「え?!智、ここにいられるの?!ずっと?!」
父さまと智の話を、途中ちょっと眠くなりながら聞いてたけど、智の言葉に飛び上がった。
「こら、和。・・・ほんとにお前は・・・。
智殿。このようにまだ幼くて大変だと思うが、和の遊び相手になってやってほしい」
「・・・ありがとうございます」
「ね、かるたとか双六なら出来る?痛くない?」
父さまに深々とお辞儀をする智の、怪我をしていない方の袖を軽く引っ張ると「はい、和さま」なんてよそよそしい返事。
「・・・それ、やだ。智と僕は友達でしょ?友達みたいに話してよ」
「分かったよ、和。遊ぶもの持ってきて?」
ほっぺたを膨らませる僕に、ふわっと微笑んで頭を撫でてくれた智の手が心地良くて、友達ってあったかいものなんだな、って思った。
母さまは僕が物心つく前に死んでしまったから朧げな記憶しかないし、父さまは「お前には重要なお役目があるのだからいつまでも甘えていてはいけない」といつも少し距離があって、頭を撫でられたことなんか一回もない。
ずっと頭を撫でていて欲しかったのに・・・すぐにすっと手が離れてしまい、でも、もっと撫でてなんて子供みたいなこと言えなくて、何でもないように遊び道具を取りに行った。