妄想、BL(M×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  N》

潤くんと初めて会ったのは花びらが舞う大学の中庭だった。

僕が育ったところでは桜が咲くのは4月終わり頃だから、小中高と入学式には桜なんて咲いてなくて、大学の入学式で初めて満開の桜に迎えられて感動した。

よくドラマとかで「入学式に桜」ってシーンがあるけど、東京は本当にそうなんだ、って式が終わってから中庭に出てぼーっと桜を眺めていた。
天気にも恵まれて、吸い込まれそうな青空に薄いピンクがよく映える。

メジロやシジュウカラ、イカルなんかも楽しそうに飛び回ってて、可愛いなぁなんて見ていたら「カシャッ」とスマホのシャッター音が聞こえた。

1人だと思ってたから人がいたことにびっくりしてそっちを見ると、眉がきりっとして目力の強いかっこいい人がスマホをこっちに向けていた。

スーツだから同じ新入生かな?
てか、もしかして僕のこと撮ってた・・・?
いやいや、僕なんか撮っても仕方ないよね。
たまたまこっち向きの構図が良かったんだよ。

そう思ったのに、本当に僕を撮ってたらしく、謝って「絵葉書みたいだったから」って写真を見せてくれた。
僕は普段から写真はそんなに撮らないんだけど、彼はおしゃれな見た目だけあってSNSなんかに映える写真をあげたりしているのか(偏見だよね)、本当に絵葉書になりそうなすごい綺麗な写真だった。

ただスマホ向けてシャッターを押したんじゃなく、何かフィルターがかかるようなアプリとかを使っているのかもしれない。
いつもなら自分の写真なんていらないと思うところだけど、彼が撮ってくれたのはまるで自分じゃないみたいで。
すぐ連絡先を交換して送ってもらった。

性格も雰囲気もまるで正反対みたいな僕らなのに、彼、潤くんとはすぐに仲良くなって、学校では大体一緒、学校終わってからも僕がバイトのない日はうちでゲームしたり、勉強したり、潤くんちにお邪魔したりするようになった。

案外正反対だから馬があったのかもしれない。

潤くんはおしゃれだしイケメンだしで男女問わずモテモテで、遠くから顔を赤らめてぽーっと潤くんを見てる子がいたり、あからさまにモーションをかける子もいた。

僕にとっても潤くんは憧れだったけど、付き合うなんてそんな大それたこと考えたこともなかったし、一番仲良しな友達ってだけでも充分だった。