妄想、BL(N×M+O×N)のお話です。
CPが複雑です。何でも大丈夫な方のみお進みください。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。











《side  N》

俺が松本さんにスカウトされたのは流行りのダンス動画からだった。

俺はフリを覚えるのだけは人一倍早くて、1回動画を見ただけでどこまでそのフリを覚えられるかという1回チャレンジなる動画をSNSにアップしていた。
とはいえ、動画だとどこまでそれを本当にしているかは分からないわけで・・・例えば覚えるまで見てから、さも1回で覚えたように編集することも出来るわけだから再生回数はあまり伸びてはいなかった。

だから突然MJダンスアカデミーからDMが来た時はビビった。
絶対詐欺だと思って最初は無視してた。

でも詐欺にしては怪しげなURLは添付されてないし、とにかく一度会ってお話を、ってのがしつこく送られてきて「そんなら一度会ってみてもいいか。怪しくなったら逃げればいいし」って了解の旨を返信した。

で、いざ行ってみたら本当にMJダンスアカデミーだったし、奥から出てきたのは本当に松本さんでしばらく呆然としてしまった。
演出とかには俺も興味があったし、あの松本さんから声をかけてもらうことなんて宝くじが当たるより低い確率だと思う。
これは千載一遇のチャンスなんだ、ってそれまでの仕事を辞めてMJダンスアカデミーに飛び込んだ。

それからは毎日必死。
俺、フリを覚えるのは早いけどダンス自体はまだまだだし、自分でフリを考えるのとかもしたことなかったから。
他3人の先輩講師である大野、宮近さん、高橋さんにいろいろ教えてもらったり、自分でも寝る間を惜しんで勉強した。
それでも3人には追いつけてないけど。

大野とは出会った日から、初対面なのに何だか昔から知ってるような不思議な感覚があって・・・初日こそ敬語だったけど、2日目からタメ口になり、名前も呼び捨てにしてしまっていた。
大野も何故か分からないけどそれを許してくれていて、講師の控室では大体2人並んで座ってるし、レッスンの後時々2人でラーメンを食べて帰る仲になった。

尊敬する先輩でありながら幼馴染のような兄弟のような不思議な関係。

大野は普段はふにゃっとしててまるでやる気がないように見えるのに、いざ踊り始めたらキレッキレだし指先や足先まで綺麗でマジで別人。
松本さんの信頼も厚くて、1番たくさんのクラスを持たされている。

悔しいけど、大野のダンスには俺も魅了されてるし、そこになんとか並ぶために俺は俺でコツコツ頑張るしかない。