妄想、BL(S×N)のお話です。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  S》

「んだよ、俺らは客だぞ!離せよ!」

羽交締めにされながら裏口から外に出されると、そこには明らかにその筋と分かる人が3人。
その辺のヤンキー相手だったら一歩も引かないけど、明らかに纏う雰囲気が違った。
それこそ「殺られる」って思った。
一気におとなしくなった俺たち。

「お前ら未成年だろ?
ケツの青いガキが来るようなとこじゃねんだよ。
俺らも未成年に手を出すつもりはねーから今日は見逃してやる。
でもな、次この辺で見かけたら・・・分かるな?」

眼光鋭く凄まれ、ただコクコク頷くしか出来なかった。
それからなんだかケンカも「井の中の蛙」って気がしてやる気にならず、ケンカにならないように全然ヤンキーのいない繁華街の隣の駅でたむろするようになった。
俺は家じゃなければ遊べる場所じゃなくてもどこでもいいんだ。

ある日、コンビニでビールを買って店の前でくだらない話をしていたら、コンビニに入っていく1人のリーマンに目が留まった。
柴犬みたいな顔立ちでぱっと見高校生かと思ったけど、スーツを着てるってことは社会人なんだろう。
薄暗い中でも分かるくらい肌が白くてきめ細かい。

あんな・・・綺麗な人いるんだ・・・。
なんか彼自身が光ってるように見えた。
あの人と話してみたい。どんな声なんだろう。
笑ったらどんなに可愛くなるんだろう。

園から出て以来、久しぶりに自分から人に関わりたいと思った。
とはいえナンパみたいなことはしたくないし、俺みたいなのが近付いていい人じゃないし、見るだけしか出来ないけれど。

でも見るだけでもいい、と思ってそれから毎日のようにそのコンビニの駐車場でだべった。
彼は帰りが遅くなった時だけコンビニに寄って帰るみたいで、連続して来る時もあればずっと来ない時もあった。

そのうち、他のメンバーも彼に気付いた。

「なぁ、たまに来るあの人、めっちゃ可愛くね?」

「俺も思ってた!声かけてみる?」

「ばか、俺らなんか相手にされねーよ」

「いや、分かんねーよ?」

しまったな。
あんなに綺麗な人、こいつらが気にならないわけがなかった。
不用意に毎日コンビニに来てしまっていたことを後悔する。
しかも、俺がそのコンビニに行きたがるもんだからここのとこ女遊びはしてなくてみんな欲求不満。
ついに彼を取り囲んでしまった。