妄想、BL(S×N)のお話です。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。









《side  N》

「いってーな!翔くん、何すんだよ!」

「発情期のサルみたいなダサい真似すんな」

「あ、あぁ・・・ごめん」

それまできゃんきゃん吠えてイキがってたチンピラ達が、しょうくんと呼ばれた彼が威圧すると途端に媚びへつらうような笑みを浮かべて俺から離れた。
やっぱり彼がリーダー格なのか。

「ほら、さっさと行けよ」

くいっと顎をしゃくられ、「ありがとう」も違うよな?と思って軽く会釈だけして家に帰った。

それから夜遅くに帰った時は彼らに、というか、しょうくんというらしい彼に軽く会釈してコンビニに入る、というちょっと不思議な関係が出来上がった。

そんなある日、辻村先生の新刊発売に合わせてサイン会が開催されることになり、その打ち合わせのために書店に向かっていた時のこと。

お昼時だからか電車はがらがらで、端っこの席に座ってふと前を見ると「しょうくん」がいた。
コンビニで見かける時はラッパーみたいな格好だけど、今は学ランだから一瞬分からなかった。

やっぱ高校生だったんだ。
てかあの制服、この辺じゃめちゃくちゃ頭いいことで有名な桜光学園じゃん。
黒っぽくも見える深い紅色の学ランは珍しい色味だからすぐ分かる。

あんなヤンキー丸出しの格好、校則に引っかかったりしないのかな?
いや、でも夜にコンビニ前でビール飲んでたりするくらいだから校則なんて気にするタマじゃないか。

それよりこんな時間に電車って、サボり・・・?
思わずまじまじと見つめると、目を閉じた顔は血の気がなくて、ぐったり手すりにもたれている様子からすると具合が悪そう。

「あの・・・しょう、くん・・・?」

下手に関わりたくはないけど、あまりに具合が悪そうな未成年を放ってもおけなくて、隣に移って声をかけた。

「ん・・・?
あんた、コンビニの・・・てかなんで俺の名前・・」

「友達がそう呼んでるの聞いたから。
それより大丈夫?すごい具合悪そうだけど。家まで送ろうか?」

「あんなん、別に友達じゃねぇよ。
家には帰りたくねーからネカフェにでも行く」

「はぁ?!そんな状態で行ってもネカフェの人だって迷惑だろ!!」

額に手を当てたらすごい熱くて、それなのに帰りたくないと駄々をこねる。
思わず声を荒げてしまった。