妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。







《side  N》

お化けの人に1番近い非常口で降ろしてもらい、「彼、あそこから出てくるから」と出口を指されたけれど首を振る。

もう健への気持ちはびっくりするくらいなくなってしまって・・・というか目の前のこの人に全部持っていかれてしまったから、健とは別れるんだ。

出来ればこの人のことをもっと知りたいしもっと話したいけど、初対面で、しかもデートでここに来といて彼に連絡先を聞くのは気が引ける。
残念だけどもう会うことないんだろうな。

「最悪の思い出になっちゃった・・・」

思わずぽつりと呟くと、なんと彼の方から遊ぼうって誘ってくれた。
あと1時間くらいで仕事終わるから、って。

さらに待ち合わせの関係で連絡先まで交換できちゃった。
どうしよう、嬉しい。

とりあえず健に電話してみたけど、まだお化け屋敷の中なのか出ないから「もう会いません。別れよう」と留守電にメッセージを入れて遊園地を出た。

最悪から一転、最高の日になりそうで、カフェに入ったものの気分がふわふわしてスマホゲームにも身が入らず、髪形チェックしたり洋服汚れてないかな、なんて気にしてたらあっという間に大野さんから連絡が来た。

早速カフェから遊園地に向かってると、途中で電話が鳴り、見ると健から。
ようやくお化け屋敷出たのかな。
さすがにメッセージだけで別れ話は誠意がないかと電話に出た。

「もしもし」

「もしもし、ニノごめん!俺、驚きすぎて・・・置いてくつもりはなかったんだよ、ほんとに」

「そうかもしれないけど・・・戻ってきてくれなかったし・・・」

「戻ろうと思ったよ!でも後ろからもお化けが来るから・・・
とにかく、これからはお化け屋敷入らないし、何かの時には今度こそ守るから!」

「でもいざって時にやっぱり俺は後回しになっちゃうと思うんだ。
それに、もう俺の気持ちが健にないの。ごめん」

咄嗟の時の行動ってそうそう意識して変えられるものじゃない。
絶対守ろうと思ってたら、無意識にでも守ろうとするよね。
それがなかった、ってことだもん。

もう終わりにしよ?って電話を切った。