妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。








《side  O》

このまま帰っちゃったら、この遊園地だって悲しい思い出の場所になっちゃうし。
出来るなら今日塗り替えてあげたかった。
それにこの子の笑った顔、絶対可愛いから見たいし。

「出口で手にスタンプ押してもらったら再入場出来るから、遊園地内で1人やだったら外に喫茶店とかあるから・・・」

迷ってそうな彼にさらに言い募ると、

「じゃあ・・・たぶん外に出るので、お名前と電話番号教えてもらえますか?」
って。

ぃやった!!
心の中で今日2回目のガッツポーズ。
名前と番号を交換してすぐにお化け屋敷のトップのところに向かう。

二宮くんにはあと1時間くらいで終わる、って言ったけど本当はあと2時間くらいある。
お昼休憩なしの代わりに1時間早くあがらせてもらえないか頼みに行った。

こないだシフト代わってあげた後輩の協力もあって無事早上がり出来ることになり、残りの時間さらに気合いを入れて脅かしていく。
プライベートで楽しみがあると仕事も楽しくなるんだな。

久しぶりに仕事以外での楽しみが出来て、ウキウキとメイクを落として、いつもは鏡なんか見ないのに鏡で見出し並みを整える。

あ、しまった。
こんな出会いがあるなんて思わなかったからテキトーな服着てきちまった。
・・・仕方ないか。
髪の毛だけセットして外に出て、二宮くんに電話をかけた。

「もしもし、お待たせ。終わったよ。
今どこにいる?」

「おつかれさまです。遊園地出たところのカフェにいたので、これから遊園地戻りますね」

「じゃあ入り口で待ってるね」

そわそわと入り口のゲートから外を見ていると、やや俯き加減で歩いてきた二宮くんが顔を上げ、俺に気付いて小さく手を振った。

なに、そのはにかんだ顔。可愛すぎなんだけど。

スキップしながら大きく手を振って駆け寄りたくなるのをぐっと堪え、クールを装って「おう」と小さく片手を上げた。

「すみません、お待たせして」

「いや、こっちこそ待っててもらってごめんね。
どうしようか、ジェットコースターは平気?」

「・・・あの・・・」

どのアトラクションに乗ろうか考えてると、二宮くんが困ったように口を開いた。