妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。








《side O》

ぃやったー!

俺は心の中でガッツポーズしながら叫んだ。
まさか誕生日にこんな可愛い子に出会えるなんて。
これは神さまがくれたプレゼントに違いない。

⭐︎⭐︎

お化けのバイトを始めたのは大学生の時。
俺は何かに驚くってことがあんまりなくて、当時の彼女とお化け屋敷に入った時にやたらきゃーきゃー驚く彼女に「そんな・・・?」と思ったのがきっかけだ。

そんな怖いなら入らなきゃいいのに、と思ったけど、実際にはスリルを楽しんだり、恋人にくっつくのを楽しんでいるらしい。

それなら俺がすんげぇスリルを提供してみたいな、と思って日本一怖いって言われてるお化け屋敷のお化けのバイトに応募し、見事採用。

それから10年弱。
いつの間にかバイトから正社員になり、メイクも自分で出来るようになり、新しく入った子にどう脅かしたら怖いか教えるようになり。
そんな風に仕事は充実していったけど、その分プライベートはとんとダメだった。

遊園地が忙しいのは土日と祝日。
当然世間がお休みの日にはたくさんシフトが入れられる。
違う職場の子と付き合うと休みが合わなくてすぐフラれるし、同じ職場は三角関係、四角関係になったりめんどくさい。

そんなこんなでここ数年、クリスマスなんかのカップルのためのイベントではカップルがいちゃつけるようにとにかく脅かし、自分の誕生日だって祝ってくれる恋人もいないから忘れかけてるほどだった。

でも今年の誕生日は違った。
いつものように朝からお客さんを脅かしていって、何組目だったかな。

この組を脅かしたら遅めの昼休憩だ、なんて思いながら出会い頭を狙って階段のところでじっと声や足音に聞き耳を立てる。

「やっぱり入らなければ良かった」

「大丈夫だって。俺がついてるから」

珍しい。男同士のカップルか?
片方の、少し高めの綺麗な声は早くも涙声。

・・・よし、今だ。

タイミングを見計らってぬっと現れてやったら、片方が大絶叫。
おし、成功!と思ったのも束の間、なんとそいつは連れを振り払って猛ダッシュで1人で階段の上に逃げてった。

いや、恋人置いていくなよ!

途中までセオリー通り追いかけたものの、懐中電灯も渡されず残された方が気になって・・・急いで戻った。