妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。






《side  N》

よし!
俺は一度ぱちっと両手でほっぺたを叩き、気合いを入れて目の前の門をくぐった。

ここは私立山風学園。
中高一貫の男子校で、進学校としてそこそこ有名。
俺は今日からここで生物教師として働く。
進学校だから生徒はおとなしいかといえばそうでもなく、俺もここの卒業生だから分かるけどけっこうヤンチャな奴らも多い。
なめられないように気を引き締めていかないと。

教師は4年目、山風学園は2校目だからまだまだ慣れたとは言い難いけど、1年目よりは少なくとも授業に関しては多少余裕も出てきたと思う
生徒との関係に関しては・・・まだ緊張する。

前の学校は女子校だったんだけど、そこで俺は失敗した。
1年目と2年目は副担任として業務にあたり、少し慣れた3年目に初めて高2の担任を任された。

男子校育ちな上、姉から「女の子には優しくしろ」と小さい頃から言われてきた俺は年頃の女の子の扱いに四苦八苦していた。
あんまりきつく言うと泣いちゃうんじゃないか、とか、学校に来たくなくなるんじゃないか、とか変にいろいろ考えてしまい叱るに叱れない。
そんな俺を生徒は全く先生としては見ておらず、「にのちゃん」呼びな上、何かといえば「可愛いー」だの言ってまとわりついてくる。

一度廊下を歩いている時に腕を組まれているのを学年主任に見られ、えらい叱られた。
だけど・・・振り払っていいものか分からないし・・・。

「二宮先生は生徒から大人気でいいですねぇ」

誰に相談していいかも分からず、悶々と過ごしていると隣のクラスの担任、遠藤先生が話しかけてきた。
遠藤先生は40歳くらいの体育の男性教師。

「いえ・・・先生として見られてないだけなので・・・もっとしっかりしなきゃいけないと思ってるのですが」

「俺なんか見た目が厳ついせいか、怖がって全然近寄ってきませんからね。羨ましいですよ」

遠藤先生はずっと柔道をやっていたそうで、体が大きくがっしりしているから近くに来られると威圧感がある。
顔も鬼瓦みたいな顔だし、声が大きいから。
話すと裏表のないいい人だけど、年頃の女の子には確かにちょっと近寄り難いかもしれない。

本人はだいぶそれを気にしているみたいで事あるごとに俺を羨ましいと言ってくるけど、俺にしてみたら全然羨ましがるところじゃないけどな、と思う。