オール翔くん語りです。
妄想、BL（S×N）のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
《side S》
その噂というか都市伝説を知ったのは職場のお花見の時。
やっぱり桜は綺麗だな。日本に生まれてよかったな。
なんてぼーっと眺めていたら、隣で缶ビール飲んでた同期が「桜といえばさ、」って切り出してきた。
「△△県に◯◯町ってあるの知ってる？その山中に人喰い桜っていうのがあるらしい。」
それは本州の中ほどにある県の小さな町で、これといった観光資源があるわけでもなく、駅も無人駅が1つあるくらい。
観光地に行く時に通るけど名前を気にする人はいなさそうな町だった。
俺も、たまたま母がそこの出身だから知っていたけど、もし何の関わりもない町だったらあまり記憶に残らないかもしれない。
そこの山の中に1本だけ桜の木があり、その木で自殺する人が後を立たないことから「人喰い桜」と呼ばれるようになったらしい。
それだけなら自殺の名所として有名になるくらいだよな。
「なんでも、自殺者が揃いも揃って“カズ、カズ”って呼びながらその桜しか目に入らないように夢中になって死んでいくらしい。カズっていうのが名前なのかなんなのか分かんないけど。」
ふーん？
ただの自殺の名所によく分からない部分を付け足して都市伝説に仕立て上げる、よくあるヤラセじゃないのか？
俺、怖い話ってあんまり得意じゃないし、都市伝説ってヤラセっぽいのが多いし、いつもならそういう話にはあんまり興味を持たないんだけど何故だかこの話はやけに気になって調べてみた。
今になって思えば桜に呼ばれていたのかもしれない。