政治家は何を見ているのだろうか??本当に困っている人、そして本当に困っているものを国民に届けられない対策は愚策と言われても仕方ない。「アベノマスク」の失態を演じた安部元首相は、自民党細田派を引き継ぎ安倍派を率いることになった。またまた、国民の心の分からないリーダーが政権与党を引っ張っていくことになるとは・・・。日本の政治は浄化交替とは程遠く、中国共産党とさほど変わりがなく見えてくる。

 

 「アベノマスク」は、先日、政府調達の計2億9千万枚の3割近い約8300万枚(115億1千万円相当)が今年3月末時点で倉庫に保管されていたことが判明した。昨年8月からの保管費用は、なんと6億円余りかかっていた。会計検査院の報告がなければ、このような無駄は発覚しなかっただろう。しかし、その後、この件は大きな問題としての報道は少ないような気がする。

 

 無駄遣いと考えられる、未配布の115億円余りの「アベノマスク」とその保管料6億円を合計すると121億円になる。各世帯に10万円のバラマキを行うと、12万1千世帯にばらまくことが可能となる。それでも、全世帯の0.2%に過ぎず、微々たるものだとの判断なのかもしれない。しかし、そのうような意識がここまでの借金大国を作ってきたことを忘れてはならない。

 

 これより大きな問題は、一律の10万円バラマキだ。誰とて棚からぼた餅のような現金は欲しいものだ。後先を考えなければ、補助金をばらまけばよい。しかし、これは全くの愚策の危険性が大きい。そこには戦略は感じられない。政策がないということだ。なのに今回の衆院選は、バラマキ政策合戦だった。金をバラまいて、票集めをするという、なんとも最低の政治家の状況を表面化した。与野党問わずだ。

 

 そして、いよいよ、「安倍万十」から「岸田万十」へ。何か、政策感が感じられるかと思いきや、どうやら期待できない。確かに18歳以下への支給という面では一定の政策性を持つものの、年収960万円以下の所得を持つ世帯は、大半の世帯である。一律のバラマキに過ぎない。早く国民に届けなくてはならないと考えているのだろうが、効果的な金銭付与には程遠くなって しまった。おそらく、世帯主に配られた金銭の多くは貯蓄や金融投資に回されてしまうだろう。結果、消費には回らず、金持ちが儲かる仕組みとなる。

 

 960万円の所得がある方々に、10万円を配るなど、どう考えてもおかしい。困窮者の10万円は価値が違う。おまけに、夫婦で1920万円も収入がある世帯でも、さらには、子供が働いていれば3人で2880万の所得があっても、10万円は支給される可能性がある。なんとも愚策だ。これに賛同するのは、どのような人たちだろうか。上限を、世帯平均所得の550万円に抑えるだけでも、政策的には低所得者への支援ということで、説得力を増すのだが、そのような考えは全くないようだ。

 

 もっとも、児童手当の支給方法を使い、早期に給付するために致し方ないという見方もある。しかし、現状、そこまで困っているのだろうか?大方の人は困窮に至っていないのではないか。本当に困っている人に、支給するというのであれば、税務申告をしてもらい、例えば所得が世帯平均所得の550万円の半分程度の300万円未満の方々に、一律に20万円でも支給したほうが、困窮者への支援という政策になるものと考えられる。

 

 「安倍万十」に続き、「岸田万十」と、日本の政治家や官僚は、もはや機能不全に陥りつつある。それよりも、早期の国産ワクチンの開発や国産治療薬の開発・承認支援。児童手当の増額。低所得世帯への大学就学資金援助。奨学金返済の免除などなど、考えれば、困っている人への援助はたくさん見つかるはずだ。

 

 何と言っても、財源が不明確なバラマキ金は、将来の財政を急速に圧迫する。2兆円もの財源を確保するのはたやすくない。児童手当受給者が約1千万人だから、約1兆円が「岸田万十」のバラマキに費やされる計算になる。岸田政権は新自由主義か新資本主義か分からないが、「成長と分配」を掲げているが、政策的な「分配」でもない「バラマキ」を先行し、成長は後回しとなってしまった。今後の成長の具体的な政策は、はっきりしない。おそらく、これまでと変わることはないだろう。

 

 結局、将来の返済を必要とする国債の大量発行が控えている。財政再建も、遠くに先送りされてしまい、国政の課題は、いよいよ解決できなくなってきている。