令和3年8月1日から、夫婦共同不要の場合の被扶養者の認定が変更される。「夫婦共同扶養、いわゆる共働き世帯に被扶養者が入る場合に、どちらが扶養者と認定されるかの基準であるが、4月30日で新たな通達「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」が出されてる。

 

 夫婦ともサラリーマンの場合の基準だが、これまでの前年の収入の多寡によって決定する方法から、今後1年間の収入見込みの多寡によって決定する方法に変更されることになった。通達の主な内容は下記のとおり。

 

(1)被扶養者の人数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去・現時点・将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものが多い方の被扶養者とする。
(2)夫婦の年収が多い方の1割しか違わない場合、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
(3)夫婦のどちらか(両方)が共済組合の組合員であって、その方に扶養手当等の支給が認定されている場合には、その方の被扶養者として差し支えない。
(4)被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出し、それを次に届出を行う保険者等に提出する。
(5)次に届出を受けた保険者等は、審査の結果、他保険者等の決定につき疑義がある場合には、届出受理後5日以内に、不認定に係る通知を発出した他保険者等と協議する。この協議が整わない場合には、初めの保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする。 標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
(6) 夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えない。

 

 これにより、基準がかなり明確化され、混乱は少なくなりそうだ。原則は、収入見込みの多い方が扶養者となる。保険者が変わった場合において、前の保険者の認定に疑義がある場合には、新たな保険者は前保険者と協議し、協議が整わない場合においても、標準報酬月額の高い方が扶養者となる。標準報酬月額が同額の場合には、被保険者が届け出た、主として生計を維持する者が扶養者となるという内容である。

 

 考えてみれば、自然な成り行きのような気がする。今まで、こうなっていなかったのは、見込みはあくまでも見込みということであろう。過去の収入は証明書で確認できそうだが、将来の収入見込みは精確ではない。しかし、現在でも扶養状況の確認は収入見込みの証明を出してもらっていることを考えると、その方が合理的なのかも知れない。