あの日の光景は、今でも思い出すたびに不思議で、胸がざわつきます。
潮風の中で見つけた、見覚えのある顔…
家族で江ノ島の海岸を訪れていた時のことです。
ふと 岩の方に目をやると、3人グループの若い女の子たちが、楽しそうにおしゃべりをしていました。
その真ん中に座っている、20歳くらいの女性を見た瞬間、私の時間は止まりました。
「……私だ。」
それは、まぎれもなく20歳の頃の私自身でした。
ドッペルゲンガーを見ると不吉だとか、目を合わせてはいけないという話をどこかで聞いたことがあったので、
私はまともに正視できず、目を合わせないように、
でも気になって 何度もチラチラと彼女を見てしまいました。
向こうは、こちらに全く気づく様子はありません。
ただただ楽しそうに、お友達と笑い合っていました。
どうしても気になった私は、隣にいた娘にこう聞いてみました。
「あそこに座っている真ん中の子、ママに似てない?」
娘は私の20歳の顔を知りません。少し不思議そうな顔をして、
「うーん、少しね」 という、なんともつれない返事でした。
年齢が違いすぎるから、ピンとこないのも無理はありません。
そこへ、離れたところから夫が歩いてきました。
私は夫を試すように、あえて「私に似てない?」とは言わずに、こう問いかけてみたんです。
「ねえ、あそこにいる真ん中の子、どう思う?」
みなさん、夫がなんて答えたと思いますか?
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夫 「あっ、俺も気になった」
えっ!やっぱりーーー!!!
だよね、だよね、あの子、20歳の頃の私だよね!
と、同意を求めようとしたところで、
夫 「可愛いよね」
・・・・・・(°_°)
もう私は「私に似てない?」とはそれ以上聞きませんでした。
夫の答え方からして、彼女が私に似ているとは1ミリも感じていないことが分かったからです。
一番近くにいる家族には、まったく私に見えていない。
でも、私の目にはどう見ても、ハンコで押したようにそっくりな20歳の頃の私なのです。
ただ一つだけ、私の記憶と違う点がありました。
彼女の両隣にいたお友達2人の顔は、私の過去の記憶を探っても、まったく知らない子たちでした。
その時、私はこう思いました。
「彼女は、もう一つの人生を歩んでいる、別の世界の私なのかもしれない」と。
あの江ノ島の海岸で、一瞬だけ、二つのパラレルワールド(並行世界)が交差してしまったのかもしれません。
10年経った今でも、思い出すたびに不思議でなりません。
あの日、岩の上で笑っていた20代の私は、今頃どこで、どんな大人の女性になっているのでしょうか。
みなさんも、街中で「過去の自分」とすれ違っているかもしれません‥。
そしてそれは自分にしかわからない自分…だったりします。
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