何故、自分が殺されたか、考えた。
自分の家は、豪族でもトップで、敵味方親戚関係のある物部氏は、既に過剰な仏教保護で亡くなった。
蘇我氏は、推古天皇、敏達天皇、父親の用明天皇の時代から
推古天皇の母親の堅塩媛キタシヒメの兄弟の蘇我馬子、
蘇我馬子ソガウマコの息子の蘇我稲目。ソガイナメ
皇極天皇、斉明天皇重臣の蘇我入鹿。
要要を配し、天皇催事の重要な任務は遂行してきた。
ただ問題は、皇極天皇、斉明天皇の皇太子の中大兄皇子、後の天智天皇が、
まだ即位に必要な
言祝を話していない事だ。
皇太子とおめみえしても、日々元気溌剌ハツラツはつらつで、
「おはよう。」、
「ご機嫌よう。」
の挨拶も、明るく皇太子として、立派に責務を果たしていると思う。
しかし、何か足りない。
天皇即位に必要な、天皇事のりコトノリ
が。
母親の、皇極天皇、斉明天皇三つ子の天皇に相談しても、はかばかしい答えはなく
皇太子、天皇即位は、暗雲に、乗り上げている。
古代の天皇陵を参詣しても、
皇太子、中大兄皇子は
「ハイハイ。」
と頷ずくばかりで、天皇即位の言則コトノリ
は、たんと聞かれない。
男の子、皇太子、中大兄皇子の天智天皇即位を望む声も多いが、
皇極天皇、斉明天皇のお年の問題もあり
早く、皇太子天皇即位の決め手が欲しい。
今日も、中大兄皇子皇太子に会ってきたが、
これから
友達の、最近の仏心論で、新たな仏教保護で勢力を伸ばしてきた
中臣鎌足、藤原鎌足殿と、釣りに行く。
又の日を尋ねると、蹴鞠ケマリけまり
の練習に余念がなく、共に不在である。
早く、天智天皇の御子則みこのりミコノリが欲しい。
側近、天皇の親類親戚王侯諸侯は皆、年をとってしまう。
せっかく、百済新羅白村江の戦いで勝利勝っても、
そうして、高句麗から
新羅の大仏を戦勝の祝いとして
かっぱらっても
戦勝の報告として、仏教伝来をもらっても
次代を継ぐ天皇御子則みこのりミコノリが無ければ、
大和朝廷の男子存続に継承される
三種の棺の、継承も怪しい。
女性天皇のみでは、継承できない大和朝廷男子継承の不思議の三種の神器。
天皇家に代々伝わり、神武天皇孫孫大国主命おおくにぬしのみことオオクニヌシノミコト
からの天皇家の、秘宝を守る男子皇族の任期。
草薙の剣クサナギノツルギくさなぎのつるぎ
八咫鏡ヤタノカガミ
八尺瓊勾玉ヤサカニノマガタマやさかにのまがたま
。
古代から続く三種の、神器を守る為に、古代天皇家があり
豪族があり、
その伝承を伝えるために、王族姫君がある。
蘇我入鹿家は、
代々天皇王家守りではあるが、
まだ三種の神器を、しかと眼まなこマナコで、見た事は無い。
それほど、天皇家直系の者にしか見果てぬ夢を与える三種の神器。
物部氏を、倒した今、蘇我氏にも三種の神器の面会が許されてもいい筈ハズなのだが
曽祖父蘇我馬子には
面会が、許され、孫蘇我入鹿には、未だない。
父親、蘇我稲目に話しても、
三種の神器に関しては何もに語らず、鋭い目つきで酒の盃、酒の魚を、睨むだけ。
側近に聞くと、何度か、三種の神器との神事面会は、あったのだが、
直前に、彼父親、蘇我馬子にのみ
遮断。面会は、無かった。
皇極天皇、斉明天皇に、聞くと
「遊びすぎよ。」
とふくよかに笑う。
中大兄皇子、後の天智天皇に、聞くと
「少し、遊んだ方が良いのでは。蹴鞠ケマリをしよう。」
と誘われる。
本当に妙に、腑に落ちない、三種の神器である。









