私は、男性を信用できない。
元彼に裏切られたから。
それもある。
でも、たぶんもっと前からだ。
小さい頃、父方の祖母に言われた。
「はーちゃん。パパのことは信用しちゃいけないんだよ?」
自分の息子のことを、
その子どもに対して、信用するなと言う。
その言葉の違和感を、今でも覚えている。
私の父は、母が私を妊娠しているときから別の女性と関係を持つ人だった。
陣痛中も外食をする人だった。
家庭より、自分を優先する人だった。
だから私は、どこかで知っていた。
男性は、裏切る。
元彼は優しい人だった。
大学まで送り迎えをしてくれて、
家事もほとんどしてくれて、
私の就職に合わせて大阪にもついてきてくれた。
私は守られていた。
甘えていた。
でも、話し合いをすると最後は涙で終わることが多かった。
不満が溜まると、物に当たる人だった。
ドアの閉まる音や、ため息で、機嫌がわかった。
私はいつのまにか、空気を読むようになっていた。
そして別れる数ヶ月前から、
彼には別の女性がいた。
2、3日帰ってこない日が増えた。
私は疑わなかった。
別れて数日後、
彼のInstagramには旅行の写真が投稿されていた。
「みぃたん」というハイライトまであった。
ああ、と思った。
守られていたんじゃなかった。
知らなかっただけだった。
だから私は、深煎りしない。
怪しいと思ったら、すぐ別れる。
もう一度、知らない間に裏切られるくらいなら。
疑いながら続けるくらいなら。
先に終わらせる。
それは冷たさじゃない。
自分を守るための距離。
でも今、少しだけ違う感覚がある。
今の彼は、論理的に話す人だ。
違うときは、違うとはっきり言う。
感情でぶつけない。
「スケジュール共有アプリ、入れる?」
そう聞かれたとき、私は言った。
「やりたくないかな。全部共有するの好きじゃない」
彼は笑って言った。
「良かった。言ってくれてありがとう」
その瞬間、思った。
ああ、言っても壊れない。
スーパーで買い物をするときも、
「持つよ」と言う私に、
「ダメダメ。貸して」と笑う。
守るけれど、支配しない。
私は今、幸せな家庭を築きたいと強く願っている。
もう一人で抱え込みたくない。
彼といると、思ってしまう。
この人との子どもが欲しい。
この人と未来を築きたい。
だから、怖い。
信用できない私が、
未来を願ってしまった。
それが、今の私だ。