幸せなのに、終わりを想像してしまう
「なんでそれで離れると思うの?」
Kさんにそう言われた時、
私は少し黙ってしまった。
前職で適応障害になったこと。
不眠症で睡眠薬を飲んでいること。
自信がないこと。
全部、付き合う前に話した。
正直に言えば、試していた。
ここで引くなら、
この人とも無理だと思って離れようと。
でもKさんは引かなかった。
「辛かったね」
「ゆっくり進もう。信用してもらえるように頑張る」
“信用して”じゃなかった。
そこが、少しだけ違った。
Kさんといると、自然と笑っている。
マッチングアプリで何十人と会ったのに、
付き合おうと思えたのは彼だけ。
駅のドアを開ける。
スーパーの袋を持つ。
満員電車で支える。
当たり前みたいに。
「はーちゃんの頬のほくろ、好き」
混み合う電車で、平気でそんなことを言う。
私は恥ずかしくて顔を逸らすのに、
彼はニコニコしている。
こんなに愛されているのに。
幸せなのに。
私は、終わりを想像してしまう。
この感覚。
元彼の時と、同じくらい好きになっている。
だから怖い。
また失ったらどうしよう。
また自分だけ引きずったらどうしよう。
でも。
怖いからといって、
私は離れていない。
会うし、手を繋ぐし、笑う。
幸せなのに、終わりを想像してしまう。
それでも今は、
目の前のこの人を選んでいる。