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「ラーモセ、黙っていないでなんとか言いなさいよ。このままアルを残していいの?」
ラーモセは笑顔を作り、おもむろに言った。
「俺も残る。決めたんだ、もう何も言うな」

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エセとサブは事態が用意に信じられないという顔を見せた。
しばらく口も利けない。
「待て、二人して何を言っている?」
サブの声はどこにも届かず、空しく跳ね返ったこだまのように心に反響した。
ラーモセとアルの決意が固いのは、その顔でわかった。
「混乱してすぐには飲み込めないんだろう。事態がまるでわかっていない」
サブは足踏みして悔しがるように言った。しかし、二人の反応は依然と変わらない。
「わかった。明後日にまた来る。それまでに返事を聞かせろ。それが限界だ。
いいか、言っておくが捕まれば死刑にだってなるんだ」
吐き捨てるように言うと、サブは立ち上がった。
エセも承諾しかねるといった顔はしていたが、黙ってサブに従い帰って行った。

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アルはラーモセに食ってかかった。
「なんでサブと一緒に行かないのよ?
私がそんなこと望むとでも思っているなら大間違いよ。
今わかった。私にはラーモセの気持ちが重荷だって。
言ったはずだわ。私たちは所詮永遠に一緒にはいられないのよ。
私の決断でラーモセが死んでしまったら、私には耐えられない。
だから私のすることに干渉しないで。もう放っておいて。
それが今の、私の一番の望みよ。私を自由にして。
ここで私たち別れましょう。ここからは私一人で行くわ」
ラーモセは空を見据えて言った。
「お前がここに残るって言い出すことはわかっていた。
それはお前がここに来た理由があるからだろう。
そしてお前はその使命を果たしたい。
そうしなければ、お前の魂は永遠に救われず、さ迷い地獄へ行く。
そう、この前お前が俺に言った。そのときに俺は決めていたんだ。
何があろうともお前から離れないって。
お前の魂が安らぐように、俺は全力で尽くそうって。
俺は死ぬことは少しも怖くない」

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アルの眼にみるみる涙が滲んだ。
「だから重荷だって言ったでしょう。
前にも約束したよね、私より先に死なないって。忘れたの?
お願いだからあの約束守ってよ」
ラーモセは優しくアルを見た。
「仮に俺がお前から離れて、生き延びたとして、お前を失った俺は幸せだと思うのか?
生きていけるとでも?俺はお前と出会ってしまった。もうあきらめろ、俺はお前と離れない。
たとえそこが地獄でも。俺はこういう生き方しかできないんだ。それでお前の心の重荷になろうとも。
でもわかってくれとは言わない。俺を憎みたかったら憎め。逃げたければ逃げてもいい。
けれど俺は必ず追いかける。仕方ないんだ、俺がそうしたいから」

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アルは泣き出した。
「なんでそんなにバカなのよ。もっと楽に生きたらいいのに。まだ十七歳じゃない?
なんでそんなに死に急ぐのよ。もっと生きてよ、私の分も。
他の誰かと家族をたくさん作って、幸せになってよ。
今までだってラーモセは、充分苦しんだじゃない?
お母さんを亡くし、独りぼっちで一生懸命生きてきた。これからは幸せになるべきよ。
ラーモセには幸せになる権利があるのよ、それを放棄しないで。
だから私のことはもうあきらめて」

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「嫌だ。あきらめたくない。お前と出会って俺は幸せだったから。
心配するな、まだ死ぬとは決まっていない。結婚しようって言ったのは、本気だ。
俺は勝手にもう決めたんだ」
ラーモセはアルの涙を拭った。
「こんな日が来るのが怖かった。私がラーモセを苦しめてしまうことが。
絶対そんなことしたくなかったのに。
それよりももっと怖いのは、自分が弱くなってしまいこと。
ラーモセに甘えて、寄りかかってしまうことが。
だから優しくなんかしないで。私の意思が砕かれてしまう。
もう逃げたくないの、自分の感情に流されたくない。
ラーモセの側にいると、勇気がなくなっちゃう。
だから一人になりたい。お願い、一人でいかせて」

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ラーモセは澄んだ瞳でアルに言う。
「お前はお前の信じた道を行け。俺なんか気にするな。
そういうお前だから俺は好きになった。俺はお前の行く道を邪魔しない。
ただ後ろで支えていただけだ。振り返るな、前だけを見ていろ。
恐れるな、後ろに必ず俺がいる」
「やっぱりバカだよ。
そんなこと言う人間は、ラーモセくらいだよ。普通じゃない」
「俺がバカなら、お前も相当なバカだろう。他人のこと言えた義理かよ。お互い様だ」
二人は初めて笑った。
しかし・・・・

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「パピルスの詩」