虹の約束♪ -2ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

 

 

主よ。天は、あなたの奇しいわざを

ほめたたえます。

また、聖徒たちの集まりで、あなたの真実をも。

 

まことに雲の上では

だれが主と並びえましょう。

力ある者の子らの中で

だれが主に似ているでしょう。

 

主は、聖徒たちのつどいで大いに恐れられている神。

主の回りのすべての者にまさって

恐れられている方です。

 

万軍の神、主。

だれが、あなたのように力がありましょう。

主よ。あなたの真実はあなたを取り囲んでいます。

 

あなたは海の高まりを治めておられます。

その波がさかまくとき、

あなたはそれを静められます。

 

 

詩篇 89:5-9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You

 

 

 

 

 

 

20230415

 

 

 

・・・

 

(十二)

 

翌朝は旅立ちに相応しい穏やかな晴天だった。

乾いた大地に強い風が渡っていく。

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

サブは気を利かせ、ラーモセとアルを二人きりにしてやろうとみんなを促し、先に家を出た。

ラーモセは家の戸締まりを終え、アルを見た。

 

アルはゆうべからずっと考えていたのに、ラーモセに言うべき言葉が出てこない。

別れを告げるべきか、また会う約束をするべきか、悩んだまま答えが得られずにいた。

 

この時代、携帯電話もパソコンも存在しない。電車も自動車もない。

この先どうなるのか見当もつかない。

再び会える確約などできるものなのかもわからない。

 

ラーモセはアルに視線を注いだまま、口を開くことはなかった。

 

「今までありがとう」

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

声が詰まり、それ以上アルは何も話せなかった。

ラーモセはアルの手を優しく握った。

 

「お前と出会えただけで幸運だったんだと、何度も思った。

だからこれ以上は贅沢で、望んではいけないんだと自分に言い聞かせた。

だけど本音は違う。どんどん欲張りになって、お前を独占したくなる。

離したくないし、あきらめたくもない。なのに、どうしても行くなとは言えない。

何故かわからないけど行かせなくてはいけないと、誰かが強く背中を押すんだ。

きっとこれが俺たちの運命なんだな。他人とは違う形の幸せだってあるはず。

俺はそう思うことにした。お前もそう思うことにした。お前もそう思え」

 

ラーモセはアルの頬を手で触れた。

 

「お前のことは忘れない。このまま別れることになっても、俺はお前以外誰も愛さない」

 

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

アルはは泣きたいのを必死に堪えた。

 

「私もラーモセのことを絶対忘れない」

 

頬に触れたラーモセの手に、自分の手を重ねた。

 

ラーモセはアルの頬に軽く口付けをした。

 

「行こう」

 

そう言うと、ラーモセは先に歩き出した。

 

ラーモセが背中を見せた途端、アルの眼から涙が零れて止まらなくなった。

 

しかし最後まで、泣き顔は見られたくない。

 

笑顔で別れが言いたい。

 

そう心に固く決めていた。

 

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

「どうしようもないんだ。俺がどんなに愛しても・・・」

 

・・・

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

「どうしようもないんだ。俺がどんなに愛しても、アルを救えない。

あいつはなかなか食事が取れない。少しずつ痩せて確実に体力も以前より落ちている。

俺の母さんを憶えているだろう?

宮廷での生活に馴染んでいた母さんは、ここでの生活には耐えられなかった。

アルも同じなんだ。俺は母さんを救えなかった。

あのときはまだ子供で、仕方がなかったんだと思っていたが、今も俺はこんなに無力だ。

愛する女を守ることさえできない。

ヨセフなら、いや、あそこでの生活ならアルを救えるかもしれない。

医者もいるし、ここより楽な生活ができる。

俺はあいつに生きていてほしい。

他には何もいらない。ただ側であいつを見守ってやりたい。

あいつのことが大切なんだ。

あいつが死んだら、俺は生きている意味を失くす。

あいつを永遠に失ったら、俺はどうしたらいいかわからなくなる」

 

ラーモセの瞳から一筋の涙が流れた。

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

サブはラーモセの肩を優しく抱く。

 

「全くお前って奴は。一途なんだか、バカなんおか。

母親が亡くなったときであさえ、俺たちの前で泣くこともなく、

泣き言一つも言わなかった奴が、女のためには涙を流すとはな。

こんなに純粋な男だったとは驚きだ。

自分の感情をお決死して表に出さないラーモセを、

こんなに変えてしまったアルは、ある意味偉大だな。

それとも愛の力の為せる業か?うん?」

 

ラーモセは素直に答えた。

 

「自分でも不思議なんだ。人を好きになったことが今までになかったから。

初めてなんだ、こんな気持ちは。世界の景色が一遍に変わった。

輝いて見えるんだ。何を見ても何を聞いても、優しい気持ちになれる。

世の中ってこんな美しかったんだって、アルが教えてくれた。

それまでくすんでいた周りが、突然光を放ったんだ。

なんでこんな気持ちになれたのか、自分でもよくわからない。

アルのためならなんでもできる。この命も惜しくない」

 

サブは呆れ顔で首を振る。

 

「わかった、わかった。お惚気(のろけ)はもういい。もう何も言わなない。

ただ俺はお前を応援する。ヨセフの言いなりになるんじゃない。

お前と一緒に仕事がしたいだけだ。お前には俺が必要だからな。

そうだろう、素直にそう言え」

 

腕を回し、戯れにラーモセの首を絞めた。

 

「俺はお前やエセのお蔭で、これまで生きてこれた。それは本当だ」

 

サブは大袈裟に肩をすくめた。

 

「どうしたちゃったんだ、熱でもあるのか?

お前がそんなに素直だと、気持ち悪いな。

よしてくれよ、お前には憎まれ口がお似合いだ」

 

「そうかよ、二度と礼は言わない」

 

サブは甘い声を出して擦り寄った。

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

「なら最後にもう一度だけ言ってくれ。俺様のお蔭だって。

忘れないように頭に記憶するから。一生俺はそれだけで生きていける」

 

ラーモセは粘りつくサブを肘で追いやる。

 

「気持ち悪いのはお前だ。俺に触るな。

さっきの言葉は撤回する。だから近付くな」

 

二人は子供の頃に戻ったようにじゃれ合った。

 

夕暮れ時のナイル川が一番美しい光を放つ。

川面が星屑を撒いたように輝く。

澄んだ空は真っ赤に染まった。

 

ラーモセは空を仰いだ。

アルの笑った顔が脳裏に浮かぶ。

心が挫けそうになる。

 

アルの自由にさせてやりたいという思う反面、誰にも渡したくないという抑え切れない思いが沸き上がる。

 

強い光を放つ瞳に、深い憂いが沈んだ。

 

サブはそのラーモセの思いを汲んで、まるで気付かぬ振りをしたまま、どうでもいい話を続けた。

 

ラーモセの瞳に涙が滲むのを静かに見過ごしながら。

 

静寂の川瀬に、水の弾ける音だけが響いた。

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

ラーモセは認めなかった。

 

・・・

 

「ヨセフはアルに、男装をしてこいと言ったそうだ。

女だとは気付かれないようにすると。変な勘ぐりはよせ。アルが怯える」

 

サブは心配そうに弱く言った。

 

「ヨセフがアルを個室に迎えたら、お前はどうする?考えたくないが、あり得るだろう。

男装にさせたのは他の連中に勘ぐられたくないからかもしれない。

あそこがどんなに汚くて、腐敗しているのか、お前が一番わかっているんじゃないのか。

アルは異国人で、この国では珍しい。必ずみんなの眼につく。注目を集めるぞ。

何せ、同性愛者だって大勢いると聞いた。それでもお前は行かせるのか?

俺やエセのためか?だったら、見当違いもいいところだぞ。俺は・・・・・」

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

ラーモセはサブの言葉を遮った。

 

「お前らとは無関係だ。これは俺が、俺自身のために決めたことだ。

もう口出しはするな。多分、ヨセフはそんな男ではない。それはわかるんだ。

俺たちが想像していた人物とは違った。彼はあいつを守れる唯一の人間だ」

 

サブは納得できず引き下がらない。

 

「だったらなおさらだ。お前心配ではないのか?

アルがヨセフを好きになってしまったらどうする?俺だったら耐えられない。

そんなできた男が側にいたら、どんな女だって心が揺らぐ。今ならお前の気持ちがわかる。

以前はアルなんて女のどこがいいのか、さっぱり理解できなかった。

でもアルを見ている内に、どうしてお前があの女を本気で好きになったのか、納得する。

あんな女他にはいないよな。美人ではなないし、色気も全くなしだが」

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

「その上、気は強いし、頑固だし、なんの仕事もできない不器用なわりには、

生意気で、わがままで、自尊心がやたら強いくせに、ひどく鈍感だ。最悪な女だよな」

 

ラーモセが付け加えた。

 

サブは笑った。

 

「そこがいいんだろう?俺なら絶対手放さない。

バカな女だけど、あんな面白い女も他にはいない。

お前があきらめるなら、俺がさらってしまうかもな。本気だぜ」

 

ラーモセは初めて感情を曝け出した。

 

「ふざけるな、アルは誰にも渡さない」

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

「やっと本音を吐いたか。俺は、まんざら嘘は言っていないぞ。

他の男に取られたくなかったら、このまま二人で逃げろ。

あとは俺たちに任せればいい。うまくヨセフをあきらめさせてやる」

 

ラーモセの肩から鉄の意思が砕かれ、それまでの威勢が減退した。

 

ラーモセは顔を伏せ、孤独な懊悩に沈んだ。

 

「どうしようもないんだ。俺がどんなに愛しても・・・」

 

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

※画像おかりしてますm(__)m

 

 

 

 

 

わたしはアルファであり、オメガである。

 

最初であり、最後である。

 

初めであり、終わりである。

 

 

- 黙示録22:12 -

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You