お前を今初めて憎いと思った | 虹の約束♪

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「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

「笑わせるぜ。何の権利があってそんな真似をする?

ラーモセは自分の意思でやっている。ガキじゃないんだ。俺の前から失せろ」

 

「ラーモセのお母様はこんなこと望まなかったわ。他の生き方をさせたい。あなたにだって他の生き方があるはず、もうやめて」

 

サブの眼が鈍く光った。表情が完全に消えた。

 

エセが、もうやめてと耳元で囁く。

 

「帰らない。ラーモセを連れて帰るまでは」

 

 

 

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そのとき、暗がりから声が飛んだ。「帰れ。お前には関係ない」

 

それが誰の声だかすぐにわかったが、アルは微動だにせず、ただサブを真っすぐに捉えていた。

ラーモセがあ姿を現した。

 

「聞こえたか?お嬢ちゃん」サブは片方の眉を上げ、肩をすくめた。

 

アルは動かない。

 

狂気の沙汰としか思えないアルの無謀さに、ラーモセじゃ怒りを込めた。

「何しに来た?帰れと言ったのが聞こえないのか?お前の来るところではない。帰れ」

 

アルは笑顔でラーモセを振り返る。「一緒に帰ろう」

 

ラーモセは声も出ない。

 

 

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サブが眼で合図を送ると、男たちがラーモセの腕を掴んだ。

ラーモセは必死に抵抗したが、さすがに大男が四人ラーモセの両腕を捕らえていたので、身動きが取れない。

 

サブは残忍な笑みを浮かべた。

「そこまで言うには、相当な覚悟があると見た。それを称えて、一度だけ機会をやろう。

脱会させてやってもいいが、俺達には俺たちの掟がある。

それに従うというなら考えてもいい。どうだ?今なら逃げられるぜ」

 

ハブ、ケン、パネブ、サフは眉根を寄せ、アハとバ、ジャウは黙って成り行きを見守っていた。

 

その他の連中は揶揄し歓声を上げて楽しんでいた。

この連中はアケトの仲間ではなく、今度の仕事に人手が足りなく、急ぎで搔き集めたならず者の集団だった。

 

 

 

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「止めろアル、帰れ。サブ、止めてくれ。エセ、あいつを連れて帰れ。頼む」

ラーモセは叫んだ。必死の抵抗も空しく、身体は羽交い絞めにされ手出しができない。

 

「わかった。条件を言って」アルのこの答えにラーモセは顔から色を失った。

 

ラーモセはサブに言う。

「わかった。それなら俺を好きにしろ。殺すなり煮て焼くなり何でもやれ。

その代わりこいつには手を出すな。

もし手を出すなら、俺はお前を一生許さない。これは最後の警告だ」

 

サブの顔を歪み、ラーモセを睨んだ。エセは眼を伏せ何もできない。イウイアの眼に涙が滲んだ。

 

アルはラーモセに言った。「私は大丈夫。必ず一緒に帰ろう」

 

 

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「頼むアル、止めろ。本当に怒るぞ」

 

アルは視線をラーモセからサブに移す。すでに覚悟はあった。

 

サブは怒りで震えていた。「あいつを連れて来い」

 

何人かの男が紐で縛られた男を連れて来た。

その男は小柄だったが、その目は死人のように虚ろだった。

表情は全くないが、漂う空気は底知れぬ気味の悪さがあった。

 

さすがのアルも凍りついた。さらにラーモセの表情は怒りと恐怖で蒼白だ。

 

 

 

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サブは笑う。

「さっきの勢いはどうした?今ならまだ後戻りできる。

ただし、ラーモセや俺たちの前から消えろ。二度と俺たちの眼の前に現れるな」

 

アルの足は震えていた。でも逃げようとはしなかった。

 

サブは畳みかけるように言った。

「この顎髭の小男は、プント(東アフリカのスーダンあるいはエチオピア地域)出身で、俺たちの仲間ではないが同業者だ。

だが、ハイエナのように陰険でしつこいのさ。狙った獲物は必ず仕留める。

今回俺たちが苦労して手にした品を、横から盗もうとしたので捕らえた。その名はまさに砂漠のハイエナだ。

出身以外この男に関しては知る者は誰もいない。テーベではこいつの首に賞金がかけられている。

だから差し出して金を頂くつもりだったのに、気が変わった。こいつと勝負させてやる。

勝った方の望みを叶えてやる。ハイエナが勝てば逃がしてやる。お前が勝てば、ラーモセを自由にしてやる。

この男はやる気満々だ。さて、お前はどうする?

この男は今までも何人もの人間を殺している。お前を殺すのなんか何とも思わない。

表情一つ変えずに首を掻っ切るだろう。小柄だが腕も確かだ。どうする?」

 

アルは喉が渇いて声が出ない。緊張で身体も動かない。

 

 

 

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ラーモセが静かに言う。

「こんなことして俺が喜ぶとでも思ったのか?感激して礼を言うとでも?

ふざけるな、お前に何がわかる。もう俺の前から消えてくれ。

二度とこの地に来るな。これでお前と俺とは何の関係もない。

アル、お前を今初めて憎いと思った。

それでも死にたいと言うなら、勝手に死ね。もう俺には関係ない」

 

「ラーモセはああ言ってるいるぞ」サブは冷やかすようにアルを見た。

 

誰もがアルは諦めるて帰ると思った。

 

「ここへ来たのは自分のため。ラーモセのためだけではない。だからこの勝負やるわ」

 

これで死ねるのなら本望だった。

 

 

 

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「パピルスの詩」