10日の日曜日のことでした。
我が家の犬たちの食事やハウスの掃除を終えて 賑やかな犬たちの声が
静まったころ どこからともなく かすかに異様な声が聞こえるのですが
いまいち どこから聞こえるのか解りません。
多分 カラスか何かの雛の声かな?
以前にも「があ~」というのを耳にしたことあったので・・・と安易に
考えていたものの その声が少しずつ少しずつ大きく聞こえてくるのです。
なんとなく犬の声みたいな・・・家にはあんな声で鳴く子はいないし・・・?
我が家の犬の声にしては なんだか声質が違うし・・・?
いったいどこから聞こえるのだろう?
家の周囲を見回しても声の主らしい姿は見えない。
犬たちを見回しても みんなおとなしく寝ていたりくつろいでいる。
気になりながら二階に上がって声が聞こえる家の西側を見たら![]()
2メートルくらい下の水路に小さな犬が心細い表情でうずくまっている。
川幅2メートルくらいの水路には最近別の水路から土砂が運ばれて
ところどころ浅い島ができている。
日ごろは流れも急でゴミひとつなくサラサラと流れているのだけど
この季節になると近隣の田に水を引くために流れは止められるのだ。
小さな犬はこの季節だけ出来る島にうずくまり少しずつ流れてきている
水から身を守っていた。
急いで階下に降りて知り合いに連絡するものの この日に限って
誰にも連絡がつかない。
小さな犬は私の姿を見たときから安心したのか静かにしている。
「待っててね すぐに助けてあげるよ!」
境い目のフェンスを乗り越えて30センチ幅くらいのコンクリート製の
護岸に立ったものの途方にくれる・・・が 思い切って滑り降りた。
無事 着地できたのでよかった。
小さな犬は白地に赤茶色の模様入りのチワワの女の子だった。
「もう 大丈夫だよ・・・でも どこからここに来たの?」
首や足の飾り毛 おなか周りに小さな土の塊が無数についている。
多分 川に落ちて向こう岸から泳いでこの水路に上がってきたのだろう。
爪は相当に伸びているし前歯の状態から5~6歳かな~?
「まさか・・・捨てられたの?どうしたの?」
小さな犬は無言で悲しくてたまらない表情の目を私に向けているだけ
私はこれまでも数頭の犬たちを保護したことがあるけど そのとき
決まって思うことがある。
「犬たちが言葉を話せたらどんなにいいだろう」と
さて とるものもとりあえず小さな犬の傍に行ったものの ここから
どうやって脱出するものか・・・途方にくれるのだった。
とりあえず小さな犬を護岸に上げて考える・・・小さな犬は護岸から
私を心配そうに見ている。
「大丈夫よ どうにかなるから・・・」とは言ったものの2メートルくらいの
この壁はどうやって乗り越えようか・・・どこか足を掛けれる所はないか
探してウロウロするものの完璧に張り巡らされた四角のコンクリートに
足を掛ける幅はない。
が どうにかチャレンジするしかないと思い一度は登ろうと試みた。
そして半分くらい登ったところで・・・落っこちた!
そうだった・・・私の右手は握力が弱く肩も痛めていたのだった・・・
右手は護岸に必死に摑まっていたもののズズズ~ッと滑り落ち
内側が傷だらけになり血が滲みピリピリと痛み 右側に転倒したので
ズボンにはベッチョリと泥のシミが・・・
めげずに次のチャレンジ 新たな上り口を探す。
「もう ここしかないな」
そこは水門になったところで唯一自然の石が積み重ねられた部分
なのだけど 実はそこは 私にとって とてもいやなところなのだ。
大雨のときには魚たちはココを登って上流に非難しようとする「登竜門」
なのだけど 日ごろは涼しいらしくて時々苦手な蛇がいるのだ。
それに上がったところは草が茫々と茂っており もうホントに気持ち悪い。
しかし この際 ココを登るしかない。
グッと腹に力を入れて覚悟して登ることにした。
石の隙間から蛇が出てきそうな・・・ああ いやだいやだ 涙出そう
でも 気合入れてないと また滑って落ちそう 泣いてる場合じゃない
痛めた右腕から血が手首に伝ってきた じわっとシャツで拭って
思い切って横のツタを握り締め積まれている石に足を掛けた。
何度か右足 左足と動かしているうちに上に登れた。
そお~っと雑草の茂みを踏みながら無事 小さな犬のところへたどり着いた。
さあ ここからどうやって庭に上がろう?
2メートルの護岸はクリアして 次は1.5メートルのブロック塀とフェンスだ。
降りる時は夢中で降りたものの上がることの大変なこと。
まず 小さな犬の足ををフェンスの先端に摑まらせた。
次に上体で犬の身体を支えながらよじ登った。
幸いここには ところどころ水抜きの配水管が飛び出しており
足を掛けるのにちょうど良かった。
小さな犬はなかなか賢かった・・・事態を察知したのか本能か
必死で前足をフェンスに力いっぱい摑まらせているのが見えた。
「えらいな~この子は 頑張ってるよ」そう 感じながら一気によじ登った。
あとは らくらく着地できた。
しかし 安心してる場合じゃない・・・まずは暖めて洗わなければ。
泥だらけの小さな犬を抱えて風呂場に走った。
シャンプーしながら 結構 肉付きも骨格もしっかりしているから
捨てられたのではないだろうという気がした。
シャンプーして爪切りを済ませて ほっと一息ついたところで
少しだけ柔らかいフードを食べさせたら食べたので安心。
今日は日曜日だな~保険所休みだな~・・・そこで ヒラメキ!
最近出来た交番所に電話してみた。
「チワワを保護しましたけど届けてありますか?」
「チワワって もしかして 白が多くてところどころ茶色のですか?」
「はい そうです」
「ああ~3日前に届けられてます」
「ああ~良かった~」とおまわりさんと私の二重奏
しかし このあとがまたまた大変
「よかった~」と喜んでくれたオマワリさんの次の言葉が私を嘆かせる。
「一応 拾得物ですので交番所で預かります」
「ちょっと 待って この子今ようやく助けられて少しだけ安心したところよ
また 見ず知らずの人に知らないところに連れて行かれたら・・・」
「いや お気持ちはわかりますけど 決まりなので」
「充分解っておりますけど この状態で交番所に置くのは納得できません
飼い主さんに直接お渡ししてあげたいです」
「あ~では 連絡とって見ます」
「はい そうしてください」
「だいたい三日前からさ迷って川に落ちて必死で泳ぎ着いたのかもしれない
のに そんなこと出来るわけ無いでしょうが」と心の奥から叫び声が・・・
しばらくすると また オマワリさんから「自宅にどなたもいらっしゃらないし
110番で出なきゃいけないこともあるから やっぱり交番で・・・」
「できません・・・そんなこと」
「あ~飼い主さんが帰って見えました これからそちらへ向かいます」
「はい どうぞ~」
飼い主さんに抱っこされて ようやく 安堵の表情になったレモンちゃん。
一応 保護した時の状況説明と衰弱している心と身体への配慮を
お願いしてお引渡しとなりました。
驚いたことにレモンちゃんが落ちていた水路は 夕方には水が放流され
いつものようにザアザアと流れており
「ウワァこれだったらレモンちゃんは流されてたよね、それに私だって
助けてあげることできなかったかもしれない・・・レモンちゃんは強運だな~」と
あらためて「よかった」と安心したのでした。
