〜三十年目の帰館・我が家の庭から天国へ旅立った…猫が教えてくれたこと〜 | 物語にふれる〜言葉にふれる「ナラティブタッチ」

物語にふれる〜言葉にふれる「ナラティブタッチ」

大好きな本や映画や〜物語にふれるブログ

小春日和の雑草が茂る我が家の​庭で

その猫は眠るように旅立った




子猫の時は毎日のように

少し大きくなってからは

天気の良い昼下がりに現れた。


枯れた草の上がお気に入りで、

こちらに顔を向けながらも、

猫らしく凛とした姿勢を崩すことはなく

堂々と我が家の庭の陽だまりを独占し続けた。


 


少し、見ない日が続いたろうか?


ある朝、シャッターを開けると

猫は穏やかな顔で

いつもの陽だまりの中〜眠っていた。


と、その時は思ったのだ。



昼近くになっても起きてこないので

近づいてみると、

もう息はしていなかった。


でも、やはり穏やかな顔をしていた。


『苦しまずに逝ったのかな』と胸の奥がジンと痛んだ。


 


ちょうどパトロールで通りがかったお巡りさん👮に猫を引き取ってもらった(こういう場合は警察に連絡をとある)


猫好きのお巡りさんなのか、

丁寧に亡骸を包み〜抱き上げて

『穏やかな顔してるね。

安心してこの場所で逝ったんだ』


『良く来てました。

うちは飼えないので、

餌はあげられなかったんですけど』…というと


『大好きな場所だったんだね。

最後に頑張ってここまで来なのかな』


そう言ってくれたお巡りさん。



私は“もなか”のことを思い出していた。


三十年前〜人生でただ一度飼っていた猫の“もなか”

生後7日で私の元に来て、

三年だけ一緒に暮らした。



母の最期を一緒に暮らし看取るため、アパートを引っ越すことになり、もなかを連れて行くため試行錯誤している頃…


ある日突然、もなかはいなくなった。


昼間は隣りのお部屋に遊びに行くことも多く

それでも夕方には戻っていたのに。           

いなくなった朝、いつまでも       

ベットの中で私にしがみついていたもなか。

玄関先の私の靴の中に座って

寂しがってたもなか。


この日を境にもなかは居なくなった。                                 

それでも………

もなかは何度かアパートの入り口で私を待っていた。

抱えて部屋に連れて行こうとした私を

ドンと踏ん張り拒否したもなか。


でもあげたご飯だけは

おいしそうに食べてくれた。


そんなことが4、5回あって

それから〜もう姿を見せなくなった。


🎀………………………🎀


『お別れに来てくれたんだね』

と誰かが言ってくれた。

『猫は大好きな人に最後の姿見せないんだってよ』とも…。


私のこと大嫌いでもいいから

もう一度会いたかった。







誰かの大好きな猫〜だったかもしれない子は

我が家のお庭から天国へ旅立った。


大好きな人に最期を見せぬように…

それは本当なのだろうか。

私にはわからない。


でも

あの時“もなか”にしてあげられなかった

ささやかな《看取り》を

誰かの大切な猫ちゃんにしてあげられたようで

少し嬉しくなった。


もしかして

一匹狼の(猫なのに)猫ちゃんだったとしても…



ここを最期の場所に選んでくれてありがとね🐈

大好きになってくれてありがとう🎗️


お名前は

付けてあげられなかったけど…🎀