喜びを分かち合う
本棚に書籍が収まりきれなくなったので、読み終えた何冊かを処分することにした。
選んだ本は77冊。
寂しいが、仕方がない。
有価物の回収に出そうとしていると、娘の彼氏、寧守太(ねすた)に止められた。
「それ、捨てるんだったら、僕にください」
ねすたは、バックパックに本を詰め込むと、娘と一緒に、ある場所へと向かった。
しばらくして、娘から画像が送られてきた。
77冊を店に持ち込み、76冊を引き取ってもらったそうだ。
買取価格は合計2,580円。
そのお金で、3人分の飲み物を買ってきてくれた。
僕には、「ジョーカインド スヌーピー キャラメル チョコレート オーツミルク フラペチーノ」(Tall ¥720)。先日、運転のお礼に、ねすたにご馳走したものだった。
「せっかく稼いだお金をほとんど使ってしまったんじゃないの。よかったのか?」
僕がそう尋ねると、ねすたはニコニコと笑いながらこう答えた。
「いいんです。みんながしあわせになれたので」
こんな若者が増えれば、社会はもう少し穏やかになるんじゃないだろうか。