自分と未来は変えられる
昨年のクリスマスイブ。広島旅行中の娘から、僕に画像が送られてきた。
その画像には、ある女性からのメッセージが綴られていた。
メリークリスマス はな!
広島デート楽しんでね。
楽しいホリデーを!!
FROM りょうこ
差出人は、俳優の広末涼子さん。
映画「はなちゃんのみそ汁」で、亡き妻千恵の役を演じた彼女は、幼くして母を亡くした娘の成長をずっと気にかけてくれていた。
娘が志望していた高校に合格した直後、携帯電話に広末さんからの着信があった。
彼女は、いたずらっぽい声で、僕にこう言った。
「お祝いの食事を一緒にしたいんだけど。ねえ、ねえ、それでさあ。サプライズでやろうと思っているの。どうやって、はなを引っ張り出そうか?」
娘の人生の節目には、いつも、心のこもったプレゼントを贈ってくれた。曲げわっぱの弁当箱、娘の名前を糸で縫った弁当包み、おそろいのアクセサリーなど。思春期を迎えた娘の相談相手にもなってくれた。
何よりも娘が喜んでいたのは、広末さんが「はな」と呼び捨てにしてくれること。「はな、私でよければママと思っていいからね」。大切な家族を亡くし、悲嘆に暮れていた僕たち親子は、彼女にどれだけ救ってもらっただろうか。
娘の高校合格祝いに広末さんから贈られた曲げわっぱ。弁当包みには、糸で縫った「はな」の文字
ここ数日間、SNSなどでは、広末さんの話題であふれ返っている。傷害の疑いで、現行犯逮捕された。警察発表が事実ならば、弁解の余地はない。社会的批判も避けられないだろう。先月、音楽イベント(中止が決定)の取材兼打ち合わせのため、彼女とはオンラインで顔を合わせたばかりだった。対話を通しては順調そうに見えた。一体、何があったのか。さまざまな憶測が流れる中、「広末さん、どうしちゃったんだろう」と、娘も心配している。連絡の取りようがない状況の今、捜査の進展を見守るしかない。
妻の祭壇に手を合わせ、娘と祈る。
仕事もプライベートも、いつも全力だった広末さん。どうか、子どもたちと穏やかに暮らせる日が戻ってきますように。
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」のだから。