陶芸と料理

 

梅雨入り前の6月上旬、娘たちと佐賀の山に出かけた。

向かったのは、陶芸家の太郎さん宅。

亡き妻の遺骨は、太郎さんが作ってくれた骨壷に入れている。僕らは、そんな関係だ。

 

最近、娘は焼き物に興味を持っている。

その日、娘は太郎さんの仕事場に入ると、土をこね、ろくろを回し始めた。

娘の彼氏、ねすたも、ろくろでの成形を初めて体験した。

 

 

3週間後、太郎さんが完成した焼き物を自宅に届けてくれた。

 

手作りの焼き物は、市販品にはない温もりがある。世界にひとつだけの作品を手にした娘たちの顔がほころぶ。

 

ねすたは故郷の母親にプレゼントするつもりのようだ。あの日、母親の顔を思い浮かべながら、ろくろを回したのだろうか。

 

 

 

そろそろ、昼食の時間だ。

毎晩遅くまで試験勉強をしている2人の顔を思い浮かべながら、米を炊いた。

 

陶芸と料理はよく似ている。