赤面しそうな言葉

 

書棚を整理していると見たことのない緑色のファイルが出てきた。

亡き妻千恵のものだった。

 

ファイルには、昔、僕が彼女に送ったとみられるメールを印字した用紙が30枚ほど入っていた。最初の数枚は彼女のことを「松永さん(旧姓)」、途中から「千恵ちゃん」と呼び方が変わっている。交際を始めたばかりのころのメールだろう。

 

 

声が聞きたい。飛んで行きたい。今すぐ会って抱きしめたい。

今読めば、赤面しそうな言葉が並ぶ。

 

2000年1月28日には「25歳の誕生日おめでとう」と送信していた。僕が千恵にプロポーズした日だった。その年の春、彼女の左胸にしこりを見つけ、7月に乳がんであることが分かった。

 

手術、抗がん剤治療を経て、カトリック古賀教会で結婚式を挙げたのは2001年8月5日。

あのときの僕は、千恵と一緒に前に進むことしか考えてなかった。

 

恋っていいな。

恋は「生きる力」だと思う。

 

出会ったころの千恵と弟たち(1999年11月2日)