大浴場には入れなかった

 

亡き妻千恵は大分県の温泉が大好きだった。

学生時代は友人たちと、よく温泉旅行に出掛けたらしい。

 

25歳で乳がんの手術をしたこともあって、結婚後は温泉に行く機会が減った。たまに家族旅行で温泉地に出向くこともあったが、大浴場には決して入ろうとはしなかった。

 

 

千恵が他界して1年後の2009年9月7日、仕事の関係で温泉旅館「由布院玉の湯」に宿泊した。

温泉、料理、部屋、サービス。どれも、かつて経験したことのない素晴らしさだった。

 

部屋にも、源泉掛け流しの風呂が設置してあった。家族3人でこの宿を堪能できたら、どんなに幸せだっただろうか。

 

千恵に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 

 

温泉談義(2007年8月12日)

 

今、親族の誘いで、とある温泉に来ています。 

ムスメと旦那とご一行様は、ただいま大浴場を満喫中。

 

みんなを待っている間に、フットマッサージでもしようかと思いましたら、予約でしばらく一杯でしたので、あきらめました。

 

 一人優雅に、ホテルのような美しいロビーのパソコンを満喫しています。

 

患者歴7年にもなると、もう、待つのは慣れたものです。

 

きっと、誰も人のことなんて気にしていないだろうし、自分が思っているほど見ていないのでしょうけれど。

 

まだ、ムスメと一緒に温泉を堪能することはできませんし、大浴場には入ることができません。  

 

ムスメが産まれてから一度も一緒に大浴場を満喫できていないのは、ちょっと悪いな、とは思いますけれど。

 

まだ、気軽に自分の傷を人に見せることはできません。 

ここを乗り越えるのは、今後の自分の課題です。

 

でも、まあ、クリアできなくても、何ら問題でもなく、悲観もしません。

 

他の形で、ちゃんとムスメには愛情をあげようと思っているからです。

 

これも、慣れ、ということでしょうか

お風呂の様子はアップできませんが・・・

お詫びに、今風呂でおおはしゃぎしているであろうムスメの足でも・・・

 

・・・

 

別に、こんなのいらなかったですね。

 

じゃあ、また。(放置かい!)