「私、絶対負けんばい」
「麹菌は、高温多湿の日本だからこそ存在する、神様がくれた宝物。だから、地元の麹菌でつくった発酵食品を食べることこそが、最も日本人の体に合っとる」
種麹屋「椛島商店』(福岡県みやま市)の故・椛島千枝子さんの言葉だ。
僕たちは、2004年7月から毎年、椛島さん家族の指導で、自家製みそを仕込んでいる。
椛島千枝子さん(2009年6月21日)
椛島商店の麹菌
完成した自家製みそをポリ袋に小分けし、常温で置いていると爆発する。防腐剤入り、アルコールで発酵を止めた市販のみそと違って、生きた麹菌が詰まった「命ある」みそ、だからだ。人間の体内で消化を助け、食物をエネルギーに変える働きを支える酵素の塊でもある。
2005年秋、近辺でとれた旬の野菜をたっぷりと入れた自家製みそ汁と、井原山で収穫した無農薬の玄米ご飯が、わが家の朝の食卓に並んだ。
玄米は、僕たち家族が初めて自給した無農薬の農作物だった。
井原山は自宅から車で西へ30分ほどのところにある中山間地。米づくりの予定がない田んぼを農家から借りて、この年の春から田植え、草取り、稲刈りなど一連の農作業を経験した。
「信ちゃん、『身土不二』って、こういうことなんやね。私、絶対負けんばい」
闘病中の妻は、自分の手で作った「命ある食べ物」を、何度も何度もかみしめていた。
小学4年生の娘。毎朝、台所に立った(ESSE 2013年3月号)
亡き妻のみそ汁は、娘のはなが受け継いだ。
2007年度みそ仕込み(2007年8月4日)
今年もやってまいりました。
わが家のみそは、夏仕込みです。
合わせ(米、麦、麹)に、煮大豆をよく混ぜ込みます。
けっこうな力作業。
全てをよく混ぜ合わせます。
ほぼ、粘土遊びと化しており、毎年良く手伝ってくれます。
この後、大豆の煮汁を加え、ビニール袋をかぶせた足で、よ~く踏んでもみ込み、
みそ玉を作って、甕(かめ)に放り込みます。
後は、涼しい部屋に甕を放置。
11月頭には、出来上がることでしょう。