雑談にこそ本音があふれている

 

こいつ、ルポライターの仕事やれるんじゃないか。

闘病中の妻のブログ「がん談義」を読んで、そう思った。

 

僕の話は右から左に聞き流し、ほとんど覚えてないくせに。

外出先では、他人の会話に「耳ダンボ」(死語?)。

メモを取っていたとしか思えないような正確さで文字起こしまでやっていた。

 

雑談や立ち話の中には、市井の人々の本当の気持ちがあふれている。

妻は気づいてなかったと思うが、取材が仕事だった僕には分かる。

 

乳がん患者の雑談からは、患者を取り巻く環境が伝わってくる。

面と向かったインタビューでは聞き出しにくい患者の正直な不安や葛藤なども。

そこには、本音の言葉があふれている。

 

社会性のあるテーマに、笑いも織り交ぜているところが素晴らしい。

人気ブロガー(当時)の真骨頂を見た。

 

妻の特技は、新聞を読んでいるふりをしながら隣の人の会話に聞き耳を立てること。油断できなかった(2003年6月14日、ハウステンボス)

 

がん談義(2007年4月25日)

 

今日は、午前中から病院通いでした。午後は前原へ。

爆音でショパンのピアノコンチェルトなど聴きつつ運転。 

 

病院通いとは言っても、治療ではありません。

7月まで行かなくていいので、2カ月分の湿布を処方してもらいに行っただけなんです。

病院での待ち時間って、聞くつもりはなくても他人の会話は耳に入ってくるものです。

いや~しかし、今日の会話は久々のヒットでした。

 

以下、おばちゃまたち3人組(多分、見た感じ50代半ば)の会話をお楽しみください。

が、おばちゃんの声。

 

「あんたくさ、この前入院したらくさ、み~んな元気がなくて、はげとうやないね。もう、どうしようもないて思うてからくさ。あんた、はげたら外にも出られんやないね」

 

そりゃ、がん患者が入院してたら元気はなかろう・・・はげもおろう・・・。

奥の方にいた帽子をかぶったおばちゃん、すかさず。

 

「なんば言いようとね。あーた、帽子があろうもん。かつらだってあるし。ねえ」

「そうよそうよ」

 

どうやら、長年の友達のように見えたこの3人。

今日、待合室でたまたま居合わせただけのようです。さすが。

会話には参加してないけど、「はげ会長」の私としては、思いきり心の中で叫びました。

「そうだそうだー! 何ば、いいようとねー! はげが外出できんかったら、その辺をうろうろしとるはげたおっちゃんらはどうなるとね~。はげにも権利はあるぞ~!」

 

「・・・まあ、そうやね。そういえば、あたしゃ帽子はすかんかったばってん、治療中、紫外線浴びたらいかんっち言われたけん、最近帽子ばかぶるごとなったっんやった」

 

そのくらい、覚えててください。

 

「そうやろう? そうよ。かぶりなさいよ。ところであなた、術後の治療は何もしとらんとね?」

 

「抗がん剤はしとらん」

「じゃあ、ホルモン剤は?」

「うんにゃ、なーんもしとらん。あ、いや、やっぱりしとった。ホルモン剤ば」

 

それも、しっかり覚えててください。

 

「あーた、副作用はないとね?」

「なーんもなか。どげんもなか」

 

どうやら、こののおばちゃんは、不感症のようです。

いいなあ。私はホルモン治療のときも苦しかったよ・・・。

 

「それよりこのホルモン剤の高かこと。いっつも2万5千円くらい取られるばい。この前はくさ、何か知らんばってん4万5千円もしたったい。だけん、いっつも家中の金ばかき集めてからここに来ると」

 

それは、大体、ゾラかタモか・・・。閉経後だったら、アリミデックスかな・・・。薬の名前がすらすら出てくる自分が悲しい。いつの間にか、はげ談義からお金の話に変わったみたいです・・・。続けましょう。

 

「ええっ!ホルモン剤で4万5千円もするとね。抗がん剤と変わらんねえ。高かよねえ。わたしなんか、去年ここに100万円は払っとうよ。でさあ、高額医療か? いや、確定申告ばしたらさ、4万ちょっとしか戻ってこんかったとよ。100万払って4万よ。あほらしかねえ」

 

「そうよね、あなた。私もよ。退職金は、ここに全部つぎ込んでいるようなもんよ。せっかく一生懸命働いてきたのに・・・」

 

「そうくさ。働いた分ぜーんぶ取られるとよ。まあ、米は実家で作りよるし、野菜は自分で作りよるけん、何とか生活はしていけるけどくさ」

 

ふんふん。なるほど。

と、ここで「安武さーん」と看護師さんから呼ばれたから、この後の会話は聞いていません。

 

そこで、

今日のまとめ。

 

その1

はげにも権利はある。

 

その2

何度も言うようですが、がんにはお金がかかる。

 

その3

いざとなったら、自給自足。

 

特に、「その3」に賛同し、帰路につきました。

それでは、また。

 

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安武千恵 追悼コンサート「いのちのうた 第16章 〜にぎやかな法事〜」

 

2023年11月23日(木・祝)

15:00 開演(14:00 開場)

会場:ブードゥーラウンジ(福岡市中央区舞鶴1-8-38 WAVE BLDG. 4階)

 

出演:三宅伸治 / ウルフルケイスケ / タニー&ヤノ / 梶浦雅弘(Dr.)/ 渡辺圭一(Ba.)/ HNS / みそ汁ホーンズ

 

友情出演:宮本美香(Sax.)/ 栗原靖史(A.Gt.)

MC: 照内大

 

前売り券4,500円、当日券5,000円、小学生以下無料

※いずれも入場料+1ドリンク500円

 

チケット販売:チケットぴあ(セブン-イレブン)https://t.pia.jp/

Pコード 244-306

問い合わせ先:ブードゥーラウンジ(092-732-4662)

 

チケットぴあ以外で前売り券の購入(取り置き)を希望される方は、yasutake911@gmail.com(安武)まで。

 

以下のサイトでも予約を受け付けています。

※コンサート当日、会場入り口でチケット代をお支払いください。

 

tiget.net