街を歩くのも命懸けだった

 

亡き妻千恵が、2007年3月23日に書いたブログ「マスクマンな日々」を読んで、闘病中の彼女がどこに行くにもマスクをしていたことを思い出した。

感染症予防のためだった。

 

抗がん剤治療中のがん患者は免疫力が低下している。

風邪をひいたら、肺炎になって死に至ることもある。

僕も腎臓病を患っているので、感染症は避けなければならない。

夫婦そろって街を歩くのも命がけだった。

 

ところが、「ちょっと風邪気味だけど、会いたかったので」と見舞いに訪れる人や、咳をする赤ん坊を千恵に抱かせる人もいた。

千恵の顔を見て、「元気そうでよかった」と、安心して帰って行く。

すべてが善意。

面会を断れない苦しさがあった。

 

パパと娘の「マスクマン」(2022年3月30日)

 

以下、千恵のブログ。

 

新型コロナを経験した今の世の中、マスクをしていて心配をされたり、理由を求められることはない。咳をすれば、視線が集まる。

16年前、こんな日が訪れるとは、誰が想像できただろうか。

 

マスクマンな日々(2007年3月23日)

 

もうどのくらい、外出時にはマスクを欠かさずしているだろうか。

最近では、掃除中や家事中なども、癖のようにマスクをするようになりました。

噂によると、旦那も私の顔がわからなくなったとか。本当は、口さけ女だったとか・・・。 

 

今日も、午前中に来た宅急便のおっちゃんから、「風邪、ずいぶん長引いていらっしゃいますね~」と言われました。説明するのもめんどうくさいので、「そうなんですよ」と答えておきました。

神様、また今日もウソをついてしまいました。お許しください。 

 

最初はマンションの友達や保育園の保護者の皆様から「風邪ですか?」「花粉症?」「大丈夫?」なんて声をかけられていた私も、こう長く続くと誰も何も言わなくなり。

 

ただの、マスク好きとでも思われていることでしょう。

そんなやつ、いるのか・・・

 

この時期は、花粉症やインフルエンザの人たちに紛れ込むことができますが、これからの季節は、理由を探すのに苦労します。

こんなときだけは、世界中の人に向かって分かるように「わたしはがんです。感染症予防のため、マスクをつけているんです」と名札でもつけておきたくなるような・・・。 

病の話は、暗くなるから、あんまり人にしたくないんですよね。

誰か、いいアイデア(マスクをする理由)あったら伝授ください。

 

さて。

 

桜の開花宣言があったというのに、明日から雨。天気は荒れ模様だとか。

今日は本当によく晴れているので、2年ぶりにカーテンを洗ってみました。

白いカーテンが、グレーになりかけていたので・・・

また真っ白に戻って、良い気持ち。

今日は、掃除デーと相成り、また、マスクマンな一日の私です。