ボクシングで減量に成功
ずっと抱えていた不安がどこかに吹き飛んだ。
血液検査の結果を見ると、すべての数値が改善していたのだ。
僕は37歳のときに慢性腎臓病と診断された。
千恵との結婚式の直後だった。
1年間休職し、ステロイド薬によるパルス療法など治療に専念。
なんとか、透析は免れていた。
昨日は、3カ月に一度の診察だった。
前回の検査までは、クレアチニンの数値上昇が続いていたため、主治医から薬の量を増やすことを示唆されていた。
クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物のひとつ。
健康な人ならば、尿と一緒に体の外に出ていくのだが、腎機能が悪化すると、血液中のクレアチニン濃度が高くなり、放っておくと最悪の場合は死に至る。
一度壊れた腎機能は、一般的には改善しない。
クレアチニンを下げる薬はなく、治療の目標は数値を上げないようにすること。
そのためには、生活習慣の改善、投薬による腎臓の保護や血圧のコントロールなどが重要なのだ。
何が奏功したのだろうか。
昨年10月からボクシングジムに通い始めたことが、検査結果に反映したのかもしれない。
前回の検査時に70キロだった体重は、63キロに減った。
食べる量を減らしたわけではない。
しっかり食べて、しっかり運動して、筋肉を増やし、脂肪を削ぎ落とした。
「よく頑張りましたね。もう大丈夫ですよ」
主治医からも、お墨付きをもらった。
これで、まだ当分の間、人生を楽しむことができる。
夜は、頑張った自分にご褒美。
イカゲソの唐揚げをつまみながら、ハイボールで祝杯を挙げた。