前回が時間についての脳科学的な観点から論じた著書をご紹介しましたので、今回も時間つながりで最近読んだ特殊設定ミステリで、同じ時間を自分だけ何度も繰り返すというタイムループものです。

 

タイムループものといえば、映画でもSFでも多数ありますね。


私は、この設定好きなんです。

一般的なオチとしては、主人公があるミッションをクリアするとタイムループが終わって物語としても大団円というパターンが主流でしょう。

そんな中で、作者がどんな演出をするかが読みどころとなります。

 

この設定としては、西澤保彦さんの「七回死んだ男」は名作ですね!

これも、こういうものだというのを受け入れて、主人公がタイムループと格闘する部分とミステリがうまく融合した作品でした。

 

それと乾くるみさんの「リピート」

乾くるみさんといえば、「イニシエーションラブ」で脚光を浴びましたが、この「リピート」も非常に面白いです。

 

ということで、本作。

この設定は、5回同じ1時間を繰り返して、5回目の出来事が”確定”事項となります。

 

スタートレックの世界では、いろいろな時間軸でエピソードがあり、確定したことを「正史」と表現されますが、これと似たことのように思います。

※スタートレックを知らない方、すみません。

 

なので、本作では、4回は失敗できるため、嫌な思いは別として、確定する時間軸を最良のものとするために奮闘するのです。

 

舞台が高校の文化祭ということもあって、青春ミステリの要素あり、しっかりと伏線も回収されたりで、楽しく読めました。

 

私は、ちょうど先月、出身高校に立ち寄ることがあり、当時を思い出しながら読み進めました。

今も昔も高校生の心理はそんなに変わってないのかなと思ったりもしました。

 

SFとして、タイムループものは上記の通り、ある程度の型が決まってしまっているので、難易度が高いジャンルと思いますが、この作品はこれを難なくクリアし、読後感もさわやか。

 

すごく”感動”というわけではありませんが、読んで面白い作品でした。