奥田さんのデビュー作です。

今まで奥田さんの著書はいくつも読んでいましたが、デビュー作はまだでした。

 

このお話、特にビートルズファンの方には興味深いのではないかと思います。

 

作中では、「ジョン」としか、表現されていませんが、明らかにジョンレノンの軽井沢滞在時の様子をフィクションとして描いています。

※文庫版あとがきでジョンについては、あくまでも物語上のジョンであって世界的に有名なジョンレノンではないとされています。(一応そういうことになっています)


私は、ビートルズやジョンレノンについて、人並み程度しか知りませんので、登場する小ネタについてはわからないことも多かったのですが、それでも、ジョンレノン本人を思い浮かべながら、楽しく読みました。

 

少々ファンタジーっぽい部分あり、後に直木賞を受賞する作品の精神科医を彷彿とさせるような医者の登場もあります。

 

ネタバレにならないと思いますが、一言で言えば、ジョンが便秘に苦しむ話なわけで、とにかく笑える!

その原因として、過去のトラウマと対峙し、次第に自分の心が癒されていくわけです。

 

ジョンレノンが亡くなられたのは、1980年。私は当時中学生で、まだビートルズの存在を良く知りませんでした。そして、以前のブログでも触れている通り、日本ではYMO全盛で、私もどっぷりその世界にはまっていました。

私が初めてビートルズの楽曲をじっくりと聞いた曲は、YMOでカヴァーしていた「デイトリッパー」。

それをきっかけに、少しずつ、ビートルズの存在感を知っていきました。

 

もう少し、ビートルズの存在を早く知り、楽曲を聴いていたら、今回この「ウランバーナの森」を読んで違った印象を持つことができたでしょう。

 

それでも、音楽はそれぞれの心にあるものですし、この作品世界の中での1977年ごろ?と自分を重ねて、当時の軽井沢と作中のジョンとを重ね合わせながら読みました。