気付いたら年が明けて初めてでした。

年始早々に能登半島地震が発生し、気持ちが落ち込んでしまいました。

東日本大震災の時もそうでしたが、自分自身、気持ち的にしばらく落ち着かない気分でもありました。

まずは、地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧、復興をお祈り致します。


 さて、札幌は昨日16日は今シーズン一番の大雪となりました。

記録としては、24時間降雪量で29cmで数値的には大したことはありませんが、札幌市内は大混乱。

ここ数日は10cm前後の降雪が続き、じわじわと積雪深が増えたところで、ドカンと降ったこともあります。

昨日の最新積雪は80cmに達し、暖冬傾向で雪が少ないとはいえ、結局帳尻があってきた感じです。

 

最近は、まだ怪我が全快していないこともあり、旅ができていないので、このブログネタがあまりありません。

かといって、読書はたくさんしているのですが、短編集が中心で「これはお薦め!」というものもあまりない状態です。

 

ということで、過去の旅の記録から雪の記憶を少々綴ります。

 

私は実家が千葉ということもあり、雪にはあまりなじみがない土地で育ちました。

そんなこともあり、雪は珍しいものという印象を持っていました。

今でこそ、冬は雪が当たり前の札幌に住んでいますが、冬の旅は雪が多い土地を選んでいるように思います。

この中で特に印象に残っているもののひとつが、1987年3月の宗谷地方稚内へ夜行列車で向かっている時でした。

前日は、帯広方面から特急で札幌に入り、夜行急行「宗谷」で稚内へ向かいました。

当時の天気図を確認すると、前線を伴った低気圧が沿海州から北海道北部に接近していました。

稚内方面は翌日雪になるだろうとの想像はつきましたが、列車は定刻に札幌を出発しました。

列車は旭川、名寄と順調に進みましたが、次第に車窓は、暗い中に雪が多量に舞うようになり、速度も落ちてきました。

そして、次第に遅れも拡大し、定刻であれば稚内に着いているはずの6時過ぎになってもまだ着く気配がありません。

そして、幌延を出発して、豊富付近(だったと思います)でついに前にも後にも進めなくなってしまいました。

 

明るくなってきたころに車内放送。

「ただいま列車は前にも後にも進めない状況です。ただいま救援列車を呼んでいます。」

14系客車をDE10型ディーゼル機関車が牽くという編成でしたが、吹き溜まりに突っ込んだのでしょうか。

車内はまだ楽観していて、機関車が着けばなんとかなるだろう位に思っていました。

雪は激しく降っており、車窓にみるみる積もっていきます。

停まった当初は窓の下だった積雪が、列車に吹き付ける雪がどんどん溜まっていき、窓も埋まりそうな気配になってきました。

そして、午前9時過ぎに救援列車が到着しました。

しかし!ここまではよかったのですが、今度は雪が激しくて連結できないのです。

結局6時間以上雪原に立ち往生し、運行を断念し、代行バスで救援ということになりました。

この代行バスは、たまたま立ち往生した場所から道路が比較的近い場所にあったこと、また道路はそれほど被害を受けていなかったことが幸いしたのではと思います。

当時の感覚では、6時間で一気に50cm近くも積もったような印象がありました。

※吹き溜まりでの印象なので実際の降雪量は30cm/6時間程と推測できます。


列車のドアを開けて、なんとか降りた後、国鉄職員(国鉄民営化の直前でした)さんが雪に道をつくっていただいた跡を、一人ずつ雪道を辿って、バスに乗り込みます。

バスの中では、牛乳とパンがサービスで配られ、ホワイトアウトの中をゆっくり進み、14時前ごろになんとか稚内駅に到着しました。

稚内駅は、吹雪に沈んでおり、一歩も外へは出られない状況でした。

今、考えれば綱渡り状態の救援ですね。


 というのが主観的印象ですが、この天候は客観的にどんなものだったのか、アメダスデータで検証してみようと思います。

当日の稚内の最大瞬間風速22.9m/s。降雪量1cmとなっています。かなりの暴風雪で雪が降っても積もらずに吹き飛ばされていたのでしょう。

ちなみに昨日(2024年1月16日)の稚内は最大瞬間風速23.9m/s。降雪量16cmなので、暴風雪の程度は同程度かやや激しいことがうかがえます。

また、昨日の宗谷地方は暴風雪警報が発表されており、JR北海道の対応は、宗谷本線のこの区間はこの天候を予想して計画運休としています。

 

国鉄時代は、できるだけ運転を続行しようという思いもあったのでしょうし、予報精度も現在とは格段に違うので単純比較はできませんが、現在、当時と同じダイヤで夜行列車が運行されていたとしたら、前日の段階でJR北海道は運休を決定していたでしょうね。

国鉄当時は、豪雪になると24時間〜48時間も立ち往生等々のニュースはしばしばありました。

近年も、予想外の大雪で立ち往生のニュースも耳にしますが、全体としては、上記のような計画運休により、危機的な立ち往生は回避できていると思います。


時代とともに列車の安全運行の精度が上がってきたことを思いました。

 

また、昨日の札幌圏のJRは、一部列車(1時間に1〜2本)を計画運休することで、運転見合わせを回避し、定刻とまではいかないまでも、運行を確保したことは、評価に値すると思います。