特急「ひたち1号」でいわき駅に到着後、あとは普通列車を乗り継いで、仙台へ向かいます。

まずは、原ノ町行の普通列車。

4両編成ですが、ボックスシートを1人占めできる程度でした。

実は、このいわきから岩沼間は何度も乗っているのですが、昼間はほとんどというか記憶を辿ると全く乗っていませんでした。そのため、風景は(車では近くを通ったことがあるので)想像できながらも実質初めてなのでした。

田園と丘陵、時々海が見えて田舎の穏やかな風景です。

ただ、震災の爪痕はそこここにあり、私の拙い文章では、とても表現できません。

私は、仙台に7年間住んでいたこともあり、この地域も全く縁がない土地ではありません。震災以前の風景を知っているからこそ、復興が嬉しくもあり、震災で戻らない風景もあり、いろいろな思いが交雑しながら、1駅ずつ丹念に進み、原ノ町に到着しました。

ここから仙台行に乗り換えたのですが、予想を裏切らず!に悪評高い701系オールロングシート。まあ、鉄道が復旧しただけでもありがたいという思いで、このロングシートの一番前の席に座りました。



この席が、意外に良かったのです。

前回の旅で、「スーパーはくと」の前面展望を思いがけず楽しめたのですが、今回もガラガラの車内から前面展望が楽しめたのでした。

これが、ボックスシートの車両だったら、前面展望はここまでは見られなかったと思います。

そして、震災後、線路を全面的に付け替えた、駒ヶ嶺-浜吉田間は、路盤も新しく、新線でありながら、心から楽しめない上記同様、心が痛くなる光景ではありました。

 

浜吉田を過ぎると、岩沼まですぐです。

高校1年生の時に乗った客車列車で岩沼が近づくと、東北本線が寄り添ってきて、しばらく東北本線の複線と常磐線の単線がしばらく並行しました。この時、大動脈の路線にやっと合流できたとの思いを強くしたことを思い出しました。

ただ、この並行区間、結構長い印象だったのですが、今回改めて乗ってみるとそうでもないなあと。

 

またまた紀行作家の宮脇俊三氏の著書からの引用ですが、路線の分岐について、

本州以南の路線は、しばらく本線に寄り添うように並行して進み、名残惜しそうに次第に分岐していくことが多いが、北海道は、走り出したらすぐに目的の方向へ一気にカーブしていく。

と言及しています。これは、地形的な問題が大きいだろうと表現されています。

 

その観点からいうと、この常磐線と東北本線の岩沼の分岐は典型的な分岐ではないかと思います。

分岐なんてどうでもいいじゃないかと思われるでしょうが、私は、この「路線の分岐」自体に心が動かされるのです。

ちなみに私が考える美しい分岐は(主観ですが)

・室蘭本線と千歳線の沼ノ端

・東北新幹線と上越新幹線の大宮

です。

この両区間は分岐がダイナミックで心惹かれますね。

 

また、この岩沼や篠ノ井線としなの鉄道の篠ノ井駅、鹿児島本線と長崎本線の鳥栖駅の分岐は、主要な本線同士のどっちも大切な路線だという配線の分岐でこれも好きです。

 

私は大学で土木工学科だったこともあり、鉄道に乗っていても勾配、曲線、鉄道施設、線路に美しさを求めてしまう傾向があるようです。

 

ということで、東北の中心地仙台に到着しました。

 

この後、東北新幹線で北上、北上線で横手を経由して、秋田へ向かい、今日のうちに男鹿線に進みます。

 

(次回へ続く)