◆筋肉は歳を取っても増える
老化は足腰に表れます。
歳をとると歩く速度も遅くなり、つまづきやすくなります。
若者は歩く姿も躍動感があふれていますが、
お年寄りはヨボヨボとした歩きになります。
大きな原因は、下肢の筋肉のおとろえでしょう。
筋肉は使わなければ減っていきます。
高齢者が入院してベッドで安静にしていると、
2週間で全身の筋肉は衰え、退院しても歩けなくなったりします。
しかし、筋肉は不思議な器官で、
努力によって高齢者でも増やすことができます。
農家などで、全身を使っている人は、
80歳になっても筋骨隆々だったりします。
体操の元イギリスチャンピオンが、バリ島の98歳の男性に、
木登り競争で負けたという話があります。
おそらく、若いころから木に登る仕事をしていたのでしょう。
◆親切をすると筋肉が増える
運動は筋肉再生の一つの方法ですが、
親切も筋肉の再生に役立つと言われています。
筋細胞は、その元となる幹細胞から作られます。
このとき、オキシトシンというホルモンが十分にないと筋細胞は作られません。
ここで言う筋肉とは、動くための骨格筋だけではありません。
心臓の筋肉も含まれています。
オキシトシンは、親切をしたり、人をいとおし気に見つめたり、
ペットをかわいがったりすると分泌されます。
◆気はやさしくて力持ち
昔、「キン肉マン」という漫画がありました。
主人公のキン肉マンは、ムキムキの筋肉の持ち主ですが、心優しいところがあります。
本当に強い人は乱暴者ではなく、優しい人なのでしょう。
大昔に大ヒットした、野球漫画の金字塔『ドカベン』の主題歌『かんばれドカベン』にも、
「気はやさしくて力もち」という歌詞が出てきます。
懐かしんで振り返ってみましょう。
♪とれないボールが あるものか
かまえたミットが うけとめる
ああ 青春のストライク
ズバーンといかした あいつだぜ
気はやさしくて 力もち
明るい笑顔が 今日もゆく
がんばれ がんばれ ドカベン
山田太郎♪
力持ちの人が優しいのか、優しい人が力持ちなのか。
ホルモン学からいうと、
「心優しく人に接すると筋肉質になる」と言えそうです。
参考文献
1)デイビッド・ハミルトン:『親切は脳に効く』,サンマーク出版,2018