「この柱も痛かったのよ」思いやりでアンチエイジング | 健康は みんなのもの ~皮膚科医のブログ~

健康は みんなのもの ~皮膚科医のブログ~

     一口サイズの健康情報を
        日々発信いたします
           病気で苦しむ人が
              いなくなる日まで

◆老化を左右する要素

老化とはどういうことでしょうか。
顔のシワが増える、筋肉が衰える、関節軟骨の摩耗する、

無理ができなくなる、記憶力の低下、気力の低下などでしょう。

老化を遅らせることをアンチエイジングと言います。
老化を左右する要素はたくさんあります。
食生活、運動習慣、ストレスなどは有名ですが、

「人に対する態度」が影響することは意外と知られていません。

◆言葉の習慣

「人に対する態度」とは、例えば、

親切に接するのか、バカにしたような態度をとるのかということです。


食事も運動も習慣であるように、「人に対する態度」も習慣でしょう。
「バカじゃねえの!」「アホちゃう」などの言葉も、

口癖という「言葉の習慣」ではないでしょうか。

◆良い習慣はアンチエイジングになる

こんな話があります。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 
電車が急ブレーキをかけたあと、幼児のかん高い鳴き声が車中に響いた。
突然の衝撃に、幼児は頭を強く窓枠にぶつけたようで、なおも激しく泣き叫んでいる。
直後に、思わぬほのぼのとした、心温まる情景に接したのである。
だいぶん痛みもおさまり、泣きやんだ子供の頭をなでながら、母親は、やさしく子供にさとしている。

「坊や、どんなにこそ痛かったでしょう。かわいそうに。
 お母さんがウンとなでてあげましょうね。でもね坊や、

 坊やも痛かったけど、この柱も痛かったのよ。
 お母さんと一緒に、この柱もなでてあげようね」



こっくりこっくりと、うなずいた子供は、母と一緒になって窓枠をなでているではないか。
「坊や痛かったでしょう。かわいそうに。
 
この柱が悪いのよ。柱をたたいてやろうね
こんなふうに、母子ともども柱を打つことによって、子供の腹立ちをしずめ、

その場をおさめようとするのが、世の常ではないだろうか。



人生の苦しみに出会ったとき、苦しみを与えたと思われる相手を責めることによって、

己を納得させようとする習慣を、知らず知らずのうちに、子供に植えつけてはいないだろうか。
 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

「自分も傷ついたけど、相手も傷ついた」
「相手も悪かったけど、自分も悪かった」


「人に対する態度」は習慣かもしれません。
「良い習慣はアンチエイジングになる」
腹が立ったとき、「この柱も痛かったのよ」の話を思い出したいですね。

参考文献
1)デイビッド・ハミルトン:『親切は脳に効く』,サンマーク出版,2018
2)高森顕徹:『光に向かって100の花束』,1万年堂出版,2000