◆治る力
病気は何によって治るのでしょうか。
現代医療の流れは、ざっくりこれでしょう。
・まず症状を聞き取っていくつかの病名を思い浮かべます。
・検査により病名を突き止めます。
・病名が分からずとも、体の中で、どんな変化が起きているのかを把握します。
・病気に対して治療をします。
・治療とは、薬や手術、リハビリなどです。
不思議なことに、同じ治療をしても、効果が大きく異なることがあります。
同じ程度の病気に同じ治療をすれば、同じような結果になるはずですが、
なぜ、差ができるのでしょうか。
体には病気を治そうとする力があります。
一般に「自然治癒力」と言われますが、
この「治る力」こそが病気を治すカギを握っています。
医療者は治療法(主に薬)ばかりに目が行きがちですが、
実際は人間の「治る力」によって治っているのであり、
薬はそれをサポートしているのに過ぎないでしょう。
病気が治るのに重要なのは、
「自然治癒力(治る力)」を高めることではないかと思います。
◆ペットをなでると血圧が下がる
どうすれば治る力を高めることができるのでしょうか。
一例がペットです。
犬や猫を飼っている人は、飼っていない人よりも血圧が低いという研究結果があります。
動物をなでると血圧が下がると言われます。
心臓発作を起こしたことのある369人のうち、一年以内に死亡した人は、
犬を飼っている人は飼っていない人の6分の1ほどでした。
犬と触れ合うと、オキシトシンというホルモンが分泌され、
心臓が守られるからでしょう。
麻布大学の研究があります。
55人の犬の飼い主に、飼い犬と30分間遊んでもらいました。
犬が飼い主を見つめる時間を記録し、平均2.5分の「長い時間見つめるグループ」と、
45秒の「短い時間見つめるグループ」に分けました。
「長時間見つめるグループ」の方が、オキシトシンの濃度が高くなりました。
ペットを見つめたり、ペットから見つめられたりすると、
幸せホルモンが分泌され、「治る力」がアップします。
◆イヌ派? ネコ派?
ペットを飼うのが面倒という人は、
ペットの愛くるしい動画や写真を見るだけでも効果がありそうです。
人間の赤ちゃんと一緒に寝るイヌ
スケートボードに乗るイヌ
見ていると心か落ち着きほっこりします。
皆さんはイヌ派ですか、ネコ派ですか。
愛くるしい仕草をみて、自然治癒力を高めましょう。
参考文献
1)デイビッド・ハミルトン:『親切は脳に効く』,サンマーク出版,2018