柔軟剤による香害は、幸せな日常を奪う | 健康は みんなのもの ~皮膚科医のブログ~

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化学物質に悩まされているAさん(50代女性)の症例を紹介します。
(本人の同意は得ておりますが、個人情報保護のため、一部変更しています)


◆思えば柔軟剤だった

4年前より、散歩などで息切れを感じるようになりました。
心臓が悪いのかと思い、内科で心電図を取りましたが異常はなく、

健康診断の結果も異常ありませんでした。


思えば、その頃より実家で柔軟剤の◯◯を使うようになり、

家が香料と体臭の混じった悪臭に満たされて、

長くはいられないようになったのを覚えています。

◆イライラ、眠れない、息がしにくい、目が痛い、下痢、吐き気、頭が痛い

2年前、宿泊先の寝具の香料のニオイが気持ち悪くて眠れませんでした。
それ以来、柔軟剤や合成洗剤のニオイがますます気になるようになりました。
近隣の洗濯物の柔軟剤のニオイで、
イライラ、不眠、喉がむくんで息がしにくくなる、

目や喉が痛くなる、下痢、吐き気、頭痛、呼吸困難などの症状が出るようになりました。

カメラケースを開けて防カビ剤のニオイを嗅いだとたん、めまいがして倒れそうになりました。
その後、今まで平気だった合成洗剤のニオイでも吐き気がするようになりました。
他人の使った消臭剤を嗅いだ瞬間、目の前が暗くなり、目のピントが合わなくなりました。


◆病院では解決できず

耳鼻科で診察を受けましたが、異常はみつからず、耳鼻科ではないと言われました。
漢方医に相談しましたが、精神的なものが大きいだろうということで、

漢方薬を処方されましたが症状は治まりませんでした。


それからは、どこに行っても、自宅にいても、柔軟剤のニオイがして、

空気を吸う事がストレスになり、不眠、食欲不振と下痢で1ヶ月で5キロ痩せました
嗅覚はますます鋭くなり、りんごの農薬のニオイも分かるようになりました。


◆避難生活

このままでは死んでしまうと思い、遠く田舎に避難することにしました
避難後もしばらくは合成香料だけでなく、花や果物、玉ねぎや生姜、コーヒーや緑茶、

トマトのニオイまで気持ち悪くなり、飲食できないものが増えていきました。


柔軟剤などを避け、無農薬の食材を選ぶようにしたところ、症状は次第に収まってきました。
現在は、ほぼ元どおりの生活をしています。
しかし、再び同じことになったら、という恐怖で、もとの家には戻れそうにありません。


◆香害は公害に匹敵する

以上が、Aさんの体験談です。


田舎への非難を余儀なくされたAさんの話を聞いて、

学物質過敏症は、幸福な日常生活を、根こそぎ破壊してしまう恐ろしい病と知らされました。


まずは、柔軟剤から見直してゆきましょう。