写真は参考文献からの引用で、足の裏のメラノーマの症例です。
目測で8×4mmくらいでしょう。
これでメラノーマとは、皮膚科医としては冷や汗です。
◆メラノーマの二相性発育
メラノーマを理解するには、メラノーマの二相性発育という広がり方を
理解しなければなりません。
皮膚は表皮と真皮からなっています。
表皮の最下層に存在するメラニン細胞ががん化してできるのがメラノーマです。
メラノーマは、まず、表皮にそって水平方向に広がります。
この時期では黒色からこげ茶色のホクロかシミにみえます。
次いで垂直方向に増殖を始め、見た目は凹凸になり、盛り上がってきます。
垂直方向に増える前に治療すれば、90%が治りますので、
早期発見がいかに大切かが分かるでしょう。
◆メラノーマの早期発見
皮膚がんは100%予防できます。
なぜなら、見えるのですから。
ステップ1 ホクロに注意を払う
早期発見の第一歩は、怪しいホクロを見つけることです。
大人になってできたホクロで、大きさが6mm以上のものを探しましょう。
ステップ2 皮膚科を受診する
思い切って皮膚科を受診しましょう。
こんなことで病院に行ったら笑われるのでは。
そんな躊躇から、一生の後悔になっては一大事です。
「聞くは一時の恥」
勇気を出して、皮膚科を受診しましょう。
ステップ3 検査を受ける
メラノーマかどうかは、切除して検査をしないと分かりません。
見るからに良性でしたら、「切って取りましょう」とは言われません。
見るからに悪性でしたら、医者は血相を変えて切除を勧めます。
問題はグレーゾーンの場合です。
「本当は切除したほうがいいのですが…」
「どうされたいですか?」
と、医者の歯切れが悪くなります。
良性だとは思うが、悪性の可能性もわずかにある。
そんな場合、医者は患者の希望を尋ねます。
「どうされたいですか?」
メラノーマの早期発見の最後の関門です。
「切除して、検査してください」
この決心が早期発見の扉を開きます。
検査しても99%が良性ですが、1%が超早期なのです。
参考文献
1)出光俊郎, 梅本尚可:「メラノーマの予防とスクリーニング」,日本臨牀 79(増刊号2): 171-176, 2021.