スキマ産業といわれがちな鍼灸ですが。
卑下するわけじゃなくて、
スキマを埋める、
埋められる治療と感じています。
体調が悪いのに病気じゃないとか、
病気だけど治療法がないとか、
治癒といわれても元の生活に戻れないとか。
医療のスキマって、実はたくさんある。
終末期のがんの患者さんを診ていると、
西洋医学でできる治療がなくなったとき。
大きなスキマができてしまいます。
私が鍼灸師を続けていく覚悟ができたのは、
友人の終末期に治療をしたとき。
モルヒネなどでも解決できない症状と
積極的な治療がなくなったことでの失望感で
とても苦しい時期でしたが
未来の話をしながら、鍼とお灸をしました。
それまで完治を目指す患者さんの気持ちに
応えられないことが心苦しかったし、
無気力感を抱くだけだったけれど、
この時期に、治療ができるということが
患者さんや家族にとっても、
臨床家にとっても、支えになるのを知りました。
鍼灸で、治せないものはたくさんある。
だけど食事も摂れなくなっていくなかでも、
体力が落ちていっても、
鍼灸ならそれに応じた治療ができる。
それはがんに限らず、
多くの病気に当てはまることです。
こうやって、スキマを埋められるんだから
スキマ産業、上等
って思うのです。
自分の療養もあり、
往診の継続は悩んだ時期もありましたが。
このスキマを埋める治療だけは
断らないと決めています。
終末期の緩和ケアでは、
往診の相談をいただいてから介入する間もなく、
急変してしまうことも少なくありません。
それでも後々、ご家族から
「鍼灸を受けられる希望があってよかった」
と云ってもらうことがあります。
嬉しい言葉です。
命に関わる病気のケアのなかで、
鍼灸の役割は大きくはないでしょう。
それでも埋められずこぼれ落ちてしまう
身体や心の支えになれたら
鍼灸師冥利に尽きると思います。
それから。私の場合、地味な治療で
他の鍼灸院からこぼれてくる患者さんを
診ていることも多くて。
そういう意味でも、スキマ産業
痛くも熱くもなくて
「なにやってるのか分からない」
と云われてしまう私の鍼灸治療ですが。
(褒められてるのか褒められてないのか…)
病気の方とか虚弱の方には
こういう、ぬるーい鍼灸こそ向くこともあるので、
元気な人に寄せた治療はしなくてもいいと
今は思うのです。
スキルが上がるごとに
小物感に磨きがかかる鍼灸師![]()
これからも日々
スキマ産業のなかのスキマ産業を
極めていく努力をしていきます

