ひとりの学生さんが、お休みが続いていた。



会えた時に

「どう?大丈夫?」と聞いたとたんに、悩みごとが溢れてきた。




専門性のある学校に来て、頑張っても成果が出せない。


大学に行った友人たちは、楽しそうにしていて、取り残された思いがする。


今、心を分かち合える友人がいない。



何もかも思うようになってない。




どうしたらいいかわからない…




それで、朝起きる気力が出なくなっているという、切ない、切実な、若者の悩みだった。




もうとにかく、

「頑張らなくて良いときもあるよ」と言ってしまった。



すごく頑張ってるのに、もっと頑張らなきゃと思うのは、しんどいにきまってる。


まず、今、あなたは充分にがんばれてるよと、言ってあげたかった。



そのとたんに、その人は涙を流しはしめた…



それで、少し、話した。



次男が何年も寝たきりだった時は、友だちはいないも同然だった。


学校も行けない。

友だちもいない。

この人はいったいどうなるんだろうと思った。


でも、道を見つけると、身体も回復していった。


自然に、志を同じくする人が集まってきた。


そんなふうに、今は何にもできないと思っても、必ずまた力が湧いてくる時がある。


その時にまた、友は得られるし、世界が広がる。




休んで、自分を大事にする時間も、あっていいんだと伝えたかった。



その人は半分泣きながら、びっくりして、話を聞いていた。




人生を深く悩む人は、尊い。



友だちとワイワイ過ごしているだけの人とは、違う世界がある。


人はそれぞれの人生がある。


そのことを少しでも伝えたかった。




すると、目指している職業の人で憧れの人がいると話してくれた。


その人に時々会って、励ましてもらっているが、今
「自分はこのままでは、とてもその人のようになれない」と諦めかけている、と言う。


「当たり前だよ!」と言うと、びっくりしていた。


「あなたは、その人のようにはなれないの」

「だってその人はその人、あなたはあなた。別の人なんだから、違う道を行くのよ」


「あなたは自分のやり方を見つけて、いつかそれを見た憧れの人が『あなたのやり方いいね!』と言ってくれるようになればいいじゃない」と言うと、目を丸くした。


「OKの基準は他人でなくて、自分が作れば良いと思う」

人はみんな他人とは違うのに、みんな他人と比べようとする。

「他人と同じようにはならなくていいと思うよ」



これは、わたしの切実な思いだった。



その人の悩みは、私の悩みだった。



その人の涙は、私の涙だと思った。




こんな話し、誰にどう話せば良いのかわからず、心に溜めていたそうだ。


今日話せて良かったと言って、帰っていった。



なんとか、元気になって欲しいと思う。